2018 Fiscal Year Research-status Report
高触媒活性突起部位を配列したモデルナノ構造界面の基盤技術創出
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17K05896
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
葛目 陽義 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (20445456)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 燃料電池触媒 / 単結晶表面 / 電気化学 / 表面増強ラマン分光法 / サブナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池触媒の反応活性の最適化を進める基礎研究の中で、触媒のサイズをナノスケール化することで、高活性が得られる。これは比表面積の増大による効率化、結晶構造が表面においてひずむことで、活性点となる欠損部位が増大し、さらには局所的に配位数が減少すること(配位不飽和)による電子状態の変化によることが考えらえる。つまりこれはバルク金属とは異なるナノ構造自体に起因する構造的理由による反応活性変化であると考えらえる。そこでナノ表面特有の反応活性部位と予想される突起部位に起因する特異的反応活性を実験的に、系統的に実証・調査する研究を目指すうえで、モデル突起部位とし高指数キンク表面の作成、電気化学による評価、さらには反応活性の構造とのそうかんを理解することで、実触媒の高活性機構の理解を目指す。そこで研究実施計画では3課題を提案した。(1)単結晶表面の作製、研磨、洗浄法の最適化、(2)電気化学的手法による表面構造評価法の選定、(3)その場測定を可能とするシェル被膜ナノ粒子増強ラマン分光法の最適化。 (1)基本低指数単結晶表面の作製のための独自の結晶作成法の最適化に成功した。結晶面出し用光学ステージのセットアップ、研磨方法の最適化を終え、(111)(100)面の独自の作製技術を確立した。(2)低指数表面における電気化学的評価法の選定は完了した。(3)分析ターゲットとなる分子や金属粒子に対して、物理的、化学的、電子的相互作用による影響を最小限に制限することで、よりPureな分光学的評価を可能とする分光法の更なる高感度化に成功した。既存の方法に対して、増強素子のサイズや形状だけでなく、測定基板となる金や銀基板の表面修飾、増強素子表面のシェル層の開発を進め、本課題で目指す表面突起部位のモデルである、これまで観測が出来なかった1 nm程度の白金粒子における直接ラマン測定に初めて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に対して提案している3課題について、それぞれの進捗状況は異なる。(1)の単結晶作成技術の確立において、当初作成した低指数表面の品質が著しく低く、その原因が単結晶表面作りで最も重要な結晶粒の作製時に、多結晶となることが電気化学評価で示唆されていた。その原因は単結晶の結晶粒作成時の金属ワイヤとの界面が多結晶であることが原因であると考え、作成手法を変更したところ、品質の向上が見られた。高品質の単結晶粒でのみ実現される高指数表面の作製に道筋がついてことから、高指数表面の作製を進めている。よって当初の予定よりも「やや遅れている」ことは否めないが、最終年で高指数キンク表面の作製を目指す。(2)結晶表面の電気化学的評価法について、課題(1)の進捗状況に依存するため、本年度の進捗はわずかであるが、同時進行するため、最終年での確立を目指す。(3)昨年度までに感度を(標準試料を用いた場合)45倍に向上することを報告していたが、実際の白金微粒子を用いた分光測定時には再現性が極めて低い問題があった。そのため測定の確度・精度の向上が求められていたが、増強素子および測定基板の最適化することで、白金微粒子に吸着したプローブ分子の直接観察に成功し、感度のみならず、測定確率の向上に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1)および課題(2)について、順次単結晶表面を作成し、電気化学的手法により評価していく。特に一酸化炭素の酸化反応、酸素還元反応、水素発生反応などの基本的な電気化学反応における単結晶表面の構造の影響を評価していくことで、活性部位における電気化学的挙動を系統的に解明し、データベース化していくことで、より複雑な多元系での発展的研究の基礎知識とすると同時に、高活性触媒開発の道標とする。 課題(3)はほぼ完了したと考えており、関係論文1報は投稿済み、3報は投稿準備中である。今後は可能な限り早い論文アクセプトを目指す。
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Causes of Carryover |
年度末に購入予定であった白金基板の納期が年度を超えてしまい、その分に予定していた予算が余ってしまったため。翌年請求分と合わせて、白金基板の購入を予定している。
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Research Products
(5 results)