2017 Fiscal Year Research-status Report
オンマシン動剛性計測に基づく低剛性工作物の加工プロセスの提案
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17K06078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 大輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80576504)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 機上計測 / 動剛性 / 低剛性工作物 / 切削加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
動剛性測定用のプローブを開発した.プローブには動的な力を負荷するための圧電素子と負荷力測定用の力センサで構成されており,工具ホルダを用いて工作機械の主軸に取り付けられる. 工作物に応答を測定するためのセンサを設置することなく工作物の動剛性を行うために,変位センサレスピエゾ加振法(DSPE法)を提案した.提案法では,モデルを用いて圧電素子への印加電圧と加振力から工作物の変位を推定する.モデルの推定精度を検証する実験を行った.薄い立壁(平板)を測定対象とし,変位センサを用いて測定したプローブ-工作物間の相対変位とモデルの推定値を比較した.測定値と推定値における振幅の差は最大で±10%であり,位相差は約10°で一定であった.本結果より,モデルを用いて低剛性工作物の変位が精度よく推定できることを示した. 工作物の動剛性の測定精度を検証するために,DSPE法を用いて薄い立壁の動剛性を測定した.従来法であるハンマリングを比較対象とした.両方法にける立壁の1次固有振動数は1%の差しかなく,両方法での結果はよく一致した.しかし,固有振動数におけるコンプライアンスの大きさは2.5倍程度と大きく異なる場合があった.これは,ハンマリングは加振後に工作物が自由振動しているのに対して,DSPE法では加振器と工作物が接触し続けていることが原因と考えらえる. 別の実験とレイリーリッツ法を用いた固有振動数解析により,加振器と工作物が接触することで,加振器先端の質量が付加質量として測定系に作用することが分かった.開発したプローブを用いた測定では,モードの等価質量が0.1 kg以上であれば,固有振動数の差が10 Hz以下となり,十分な測定精度が得られると分かった.さらに,次年度の準備のために簡単な加工実験を行い,プローブによる動剛性の測定値と加工における工作物の動剛性の比較を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H29年度実施予定内容である動剛性測定用のプローブ開発と,動剛性の測定精度検証を実施し,十分な測定精度があることが示された.さらに,H30年度に実施予定の内容「プローブとハンマリングによる動剛性の測定結果と加工における工作物の動剛性との違いの調査」にも着手することができた.これらの結果から,当初の計画以上に研究が進展しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
プローブとハンマリングによる動剛性の測定結果と加工における工作物の動剛性との違いについて調査する.薄壁のエンドミル加工を行い,加工中の再生びびり振動・強制振動が生じる主軸回転数を動剛性の機上計測結果から推定できるか検証する.また,どの程度の工作物剛性から測定系の剛性を考慮する必要があるかを実験により調べる.さらに,H31年度に実施する「機上動剛性計測の加工プロセスへの適用」に向けて,測定システムの自動化の準備を行う.
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