2017 Fiscal Year Research-status Report
竹バイオマスの熱分解における発熱反応機構の解明と廃プラスチックの低温油化への応用
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17K06196
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西村 龍夫 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90136135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田之上 健一郎 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70293892)
國次 公司 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助手 (10253171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオマス熱分解 / プラスチック熱分解 / 化学反応熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1について,竹のみならず,ベイマツ,バークの3種類のバイオマスについて成分分析,高位発熱量測定,トレファクション中の熱物質移動測定を行った.その結果,竹の高位発熱量が他のバイオマスに比べて大きくなり, Ts = 623 Kで最大の高位発熱量を持つことが分かった.また,竹中に含まれるキシランの発熱反応により,セルロースの一部が分解してトレファクション中のガス生成量は定常値を持つことが分かった.ベイマツ,バークのトレファクションに関しては,それぞれ,マンナンやリグニンの熱分解に支配されることが明らかとなった. また,課題2について,各プラスチック試料の熱分解実験を行い,試料温度の経時変化,ガス生成速度,タールの捕集量の検討を行った.その結果,TG-DTA測定において,熱分解は吸熱反応であり質量の減少率などは文献値とほぼ同等であった .また,充填層実験のTR = 973 Kにおいて,試料が熱分解すると熱分解による吸熱反応が起こり温度停滞域を生じる.またガスの発生量の最大値はPSよりもPE,PPのほうが大きいということが分かった.タールの二次分解を比較するとPE,PPに比べてPSのタールの二次分解量が小さいことがわかった.これは,PSを熱分解すると主要な揮発性成分として,スチレンモノマーが生成され,構造の中にベンゼン環を含んでいる.ベンゼン環は非常に安定した存在であり,分解には大きなエネルギーを必要とする.よって,PSを熱分解して生成されたタールは二次分解が起こりにくかったと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
竹の熱分解については,実験装置が完成し,さらに,一部では,高位発熱量測定や主成分分析も行いつつある.また,プラスチック熱分解については,主要3物質(ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン)の分解過程については,おおむね把握できている.
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Strategy for Future Research Activity |
竹もプラスチックも熱分解過程についておおむね把握できるところまで来ている.今後は,化学反応熱測定や熱天秤による反応速度の評価,竹の主要成分の割合の評価を踏まえて,数値解析を実施していく予定である.
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Causes of Carryover |
備品のマスフローコントローラーについて,本体のみで対応でき,電源,ケーブルなどは,研究室にあるもので対応できたため.なお,繰越金については,平成30年度,高位発熱量装置を購入,または,借用していく予定なので,その費用に充てる予定である.
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Research Products
(5 results)