2018 Fiscal Year Research-status Report
パルス高電圧印加を利用した温帯果樹の休眠打破技術の構築
Project/Area Number |
17K06305
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
猪原 哲 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (90260728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺東 宏明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 教授 (00243543)
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 温帯果樹 / モモ / 気候変動 / 休眠打破 / パルスパワー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の地球規模の温暖化は農作物生産に多大な影響を与えている。温帯果樹は生育サイクルの中で「休眠」し,低温にさらされることで休眠から覚めるが,温暖化によって休眠から覚めない状態が起きるとその後の生育に著しい悪影響を及ぼす。そのようなことから,人為的な休眠打破技術が求められている。申請者らは先行研究において,農薬を使わない新しい休眠打破法として「パルス高電圧印加法」を提案し,モモ(桃)枝へ高電圧パルスをかけることによって,休眠が打破されることを実験的に実証した。本申請課題は,その成果を改善・発展させるために,「2パルスハイブリッド法」を新たに導入することによって休眠打破効果を改善することを目的としており,実用化へ近づけるための基礎的研究を行う。 H29年度では,パルス幅10nsのパルスパワー電源を製作し,モモ枝への印加実験を行ったが,萌芽促進の効果は観測されなかった。パルス幅が狭くモモ枝への投入エネルギーが低かったことが原因と推測した。そこで,H30年度は,10ns電源の高電圧化の改良を実施した。約2倍の80kVまで増加できた。また,休眠打破効果のメカニズム解明のために植物ホルモンの定量分析を行った。これについては500nsのパルス幅の条件で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10ns電源については,萌芽促進の効果はほとんど観測されなかったが,この原因はモモ枝への投入エネルギーが低かったためであると考えられ,H30年度は電源の高電圧化のための改良を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度において,おおむね10ns電源は改良できたので,今後は,モモ枝にパルスパワーを印加し,休眠打破効果を実証するための実験を行っていく。また,植物ホルモンの定量分析も同時に実施し,休眠打破メカニズムについても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験の進行で遅れが生じ,物品購入を次年度に持ち越したものが発生した。次年度に購入した上で実験を進める予定である。
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