2017 Fiscal Year Research-status Report
空中超音波による木材の乾燥応力の非破壊イメージング解析システムの開発
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17K06645
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷川 益己 九州大学, 農学研究院, 助教 (00372756)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非破壊評価 / 空中超音波 / 伝搬速度 / 乾燥応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,構造材を室内に露出させて,木組みを見せる現し工法の木造住宅や公共施設が多く見られる。現しの梁・柱材の多くは心持ち材を利用する。しかし,心持ち材は乾燥過程で乾燥応力の発生により表面割れが起こる。表面割れを防止するためには,リアルタイムで乾燥応力を非破壊測定することが望ましい。本研究課題の最終目標である空中超音波を利用した木材の乾燥応力の非破壊測イメージング解析システムの開発に向けて,初年度は,まず木材の表面波の超音波伝搬特性を明らかにした。空中超音波を木材表面に入射し,表面波を発生させた。空中超音波センサーを回転させる治具を作成し,センサーを回転させることで空中超音波の入射角を変化させながら,表面波の測定を行った。受信波形や最大振幅などを指標として,空中超音波の最適な入射角を検討した。入射角は入射方向(繊維・接線方向)や樹種により異なることが明らかになった。また,底面からの反射波の影響もあり,適切な木材の厚さが必要あること,節の影響も考慮すべきであることも確認できた。得られた表面波の伝搬速度は文献値(ただし接触法)とも概ね一致した。さらに木材の表面波の伝搬速度および最大振幅を分布図としてマッピングすることができた。このマッピングは乾燥応力のイメージング解析手法において非常に重要であり,今後の研究に大いに役立つものと考える。以上の研究成果は30年度に非破壊評価関連の国際学会にて発表することが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象樹種を増やし,汎用性を高めることを試みたところ,表面波測定の最適条件が樹種により異なる問題が判明した。問題解決のために情報収集とデータ解析に時間を費やしたため,木材の表面波の音弾性実験の取りかかりに遅れが生じた。現在,表面波音弾性現象の把握に向けて実験・データ解析と進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は木材表面を伝搬した表面波伝搬速度に及ぼす応力の影響の実験的に把握する。実験条件は超音波の伝搬方向,応力の種類および方向の組み合わせを変えて行う。また,木材の表面波の音弾性現象の含水率依存性も検討する予定である。含水率を段階的に調整した同一の木材試験体に対して,表面波の音弾性実験を行う。各含水率において,繰り返して表面波伝搬速度を測定し,木材の表面波の音弾性現象に及ぼす含水率の影響を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
進捗状況で記述したように,当初の研究計画より少し遅れているため,次年度使用額が生じた。研究計画が遅れた問題も解決し,30年度に精力的に研究を進めること,当初計画していなかった海外で開催される国際学会での成果発表に関わる経費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)