2017 Fiscal Year Research-status Report
超高齢時代の住宅地の選択と集中に向けた郊外住宅地の構造分析と対応策の検討
Project/Area Number |
17K06716
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中西 正彦 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 准教授 (20345391)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 美恵子 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10502320)
増田 幹人 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (80756065)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 郊外住宅地 / 土地利用 / 人口動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)GISデータの収集を行った:GISデータを使用して、現状の住宅地を客観的に捉えるため、各種データの収集を行った。GISデータは、土地利用現況調査、都市計画図、地形データならびに国勢調査のメッシュデータ等を利用し、基本的に、行政(横浜市および神奈川県)より提供を受けた。他に国土交通省の国土数値情報や国土地理院などの公的GISデータを使用した。 2)住宅地の類型化を行った:初年度においては、今後の分析作業や考察を確実なものにするために、その派生要因や地理的条件、都市の規模や地域の特性、人口構造を踏まえた住宅地の分類を行なった。なお、今後はここでの類型を改善しながら活用し、土地利用の在り方や都市計画MPの更新について検討する。また、次年度以降のヒアリング調査やアンケート調査は、マクロ的に鳥瞰した住宅地の分類を参考に、数地区に絞り込んでミクロ的に地域の特性を踏まえつつ実施する予定であるが、その基礎を構築した。具体的には、1970年代に人口流入が顕著であり、今後郊外の住宅地の問題が顕在化することが予測される大都市のベットタウンとして開発された大都市郊外住宅地を対象とする予定である。 3)第1次分析結果を「横浜市における土地利用と住宅地および人口動態の関係性~大都市郊外におけるケーススタディ~」として日本地域学会にて発表した:タイトルのとおり、土地利用と人口動態の関係に着目し、土地利用が動いている地区が人口動態的にも動いていることが、期間を2区分した分析によって明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集については当初想定していたデータを、行政の協力も得て収集・活用することができた。またその分析については、類型化を試み、ある程度の成果を得ることができた。ただし、類型化の妥当性の判定等についてはまだ検討すべき課題が残っており、これについては予定より進捗が遅れている部分と考えている。一方、その遅れは当初より発生を予期もしており、また今後も不断の修正が必要であることを想定してもいたため、致命的な遅れではないとも判断している。 一方で、第1次集計結果にもとづいた分析や、今後の活用・連携に必要な調査研究を別途進められたこともあり、一部は想定より研究が進んだ面もある。 このように、遅延と進行両面を鑑みて、平成29年度についてはおおむね順調に研究を進めることができたと自己判定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の量的データを踏まえ、高齢者の住宅処分に関する調査に重点を置きヒアリング調査とアンケート調査を行なう。また、前年度からの調査等の結果と合わせて学会発表等で広く意見を収集し考察を行なう。 1)ヒアリング調査:ヒアリング調査の対象は、不動産流通会社や住宅供給会社、インフラ企業である。住宅の中古市場や賃貸市場の現状や既存住宅地の変化に関しての調査を行なう。 2)高齢者の住宅の処分に関する調査:エリアの居住者を対象に、居住地や住環境維持に対する意識についてアンケート調査をする。特に、横浜市立大学は、COC事業で並木拠点として地域のコミュニティーセンターを設置している関係から、自治体との連携があり、大都市郊外住宅地の横浜市での実態調査の実現可能性は高いため、横浜市について先行して実施する。その後、他のエリアのアンケート調査を行なう予定である。自治体や住民自治会などと連動で留置き法によるアンケート調査とし、サンプルサイズは全体で1,000人程度とする。 3)学会発表による助言や意見の収集:本研究の節目ごとに、経済学部系や工学部系の研究者に報告を行ない、コメントを得る予定である。仮に、分析結果が統計上有意にならない場合でも、早めにコメントを得ることで軌道修正や仮説の見直しを適宜行ない、進捗管理と最終成果に関しての質のコントロールを心がける。 なお、研究体制に変更があり、3名から2名に減となったが、それによる影響を抑えるため、密な研究打ち合わせを行い、むしろスピードアップにつなげるべく研究進行体制を取る予定である。
|
Causes of Carryover |
残額が発生した最も大きい要因は、GISデータについて市販(民間企業による販売)のデータを購入予定であったものが、公共提供によるものの加工で今年度については代替可能だったためである。ただし別途のGISデータを今後購入予定であり、その見積額が研究計画立案時より値上がり等のため大きく、結果として購入時期が年度をまたぐことと同義となった。したがって、平成29年度分の残額は平成30年度に利用する形となる。 もう一つの要因は、研究体制の変更(1名減)により、研究打ち合わせにかかる交通費等の支出が減じたためである。これも今年度研究体制の変更を補うため、研究打ち合わせ回数を増やす予定であり、そこで今年度の支出に充てる予定である。
|