2018 Fiscal Year Research-status Report
熱影響と吸着固定化性能を考慮した発熱性廃棄物のセメント固化技術の開発
Project/Area Number |
17K07015
|
Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
庭瀬 一仁 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00770942)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 武志 一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, その他 (30371545)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | セシウム / ゼオライト / セメント固化 / 熱影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究実施計画に基づいて,固化体の力学安定性を検討した。力学的安定性については、昨年度の予備検討の結果をもとに配合と施工性をさらに改善したうえで、同様の供試体を作製した。供試体は、乾燥炉と高温養生用恒温水槽(供試体はエポキシでコーティングして水と非接触)で温度をそれぞれ20℃,50℃,80℃で3日,7日,28日,91日の材齢まで養生し、強度試験と電気泳動試験により、強度特性と物質移動抵抗性を評価した。また,平成31年度に計画していた模擬供試体の作製を予察的に前倒しで実施した。結果,以下の研究実績を得た。 ①強度特性評価:セメント固化体は、廃棄積み上げ時の荷重や落下時の飛散に対して、十分な強度が期待できる。フライアッシュの混合により、封緘養生1年材齢における強度低下が抑制される。フロー値は、MGよりもMEを使用した方が大きくなることが確認された 。 ②物質移動抵抗性評価:Z-FA 固化体では、3ヶ月において拡散係数はさらに小さくなっており、高い長期的な閉じ込め性能が期待できる。細孔径分布は、ゼオライトの空隙を反映しているが、実効拡散係数には影響しない。1ヶ月から3ヶ月で実効拡散係数が極めて小さな値になるのは、CHの減少からポゾラン反応によるものと考えられる。 ③模擬供試体作製:初期の段階で十分な強度発現を要求する場合は,LPCでは強度不足となる可能性が高い。高温履歴を付与された供試体の強度は,加熱無しの供試体に比べて大きくなった。これは,水和反応が促進されたためだと考えられる。28日養生の時点では,高温履歴を付与されたセメント固化体の圧縮強度について,温度の違いによる差は確認されなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究実施計画どおり,固化体の力学安定性を検討し,成果をまとめ,口頭発表9件により公表し,今後の研究に資する意見を聴取できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究については,計画どおり長期的な核種閉じ込めシステムの成立性検討を推進する。 これまでの実験結果から得られた適用性の高い数種類のセメント充てん材に人工ゼオライトを混合し、50リットル程度のドラム缶で模擬廃棄体を作製する。模擬廃棄体内部は、あらかじめ加熱したゼオライトを用いるとともに、電熱ヒータにより発熱を模擬する。内部のひずみと温度分布を埋め込みの計測器により測定するとともに、所要期間硬化を待ったのち解体して、ひび割れの状況を観察し、コアサンプルによる各部位の強度、細孔構造、水分の残存量などを測定する。
|
Causes of Carryover |
材料費が計画より安価で済んだため次年度使用額が生じた。最終年度であるので,学会発表にかかる費用で使用する計画としたい。
|