2017 Fiscal Year Research-status Report
アストロサイトを中心とした脳内バソプレシンネットワーク機能の検討
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17K07072
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中村 和昭 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (80392356)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バソプレシン / 神経細胞 / 細胞保護 / 脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳内バソプレシン作用及び作用機序を明らかにするために、アストロサイトの役割に注目している。これまでにアストロサイトにおいてバソプレシン受容体の発現が報告されているが、バソプレシンによるアストロサイトの機能制御およびアストロサイトを介したバソプレシンの機能は不明である。本年度は、脳虚血の培養系モデルである低酸素低グルコース負荷(Oxygen Glucose. Deprivation:OGD)モデルにおける初代培養海馬神経細胞障害をバソプレシンが抑制することを見出した。またバソプレシン受容体を発現させた培養細胞において、バソプレシン刺激により、ERKおよびAKTのリン酸化が惹起されることを見出し、 バソプレシンにおける神経保護作用がERK-MAP キナーゼ系(細胞増殖シグナル)及び phosphatidylinositol-3 kinase (PI3K)/Akt系(生存シグナル)を介して発揮されていることを示唆した。この結果は海馬神経細胞の虚血性神経細胞死においてバソプレシンが直接的に神経保護作用を有することを示している。一方で脳内においては多数のアストロサイトが存在し、アストロサイトにバソプレシン受容体が発現していると考えると、バソプレシンによるアストロサイトの機能制御が、神経細胞保護に何らかの形で関与している可能性が考えられる。今後、本研究ではアストロサイトと神経細胞の共培養系やアストロサイト特異的バソプレシン受容体遺伝子欠損マウスを用いて、バソプレシンのアストロサイトを介した神経変性に対する影響を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、①アストロサイトのAVP 産生・分泌機構の検討、②アストロサイト由来AVP 機能の検討、③AVP のアストロサイトに対する作用並びに作用機序の検討、を計画しているが本年度は③につながる成果を得ており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、特にAVP のアストロサイトに対する作用並びに作用機序の検討について重点的に進め、その成果をできるだけ早く学術誌等において公表できるよう、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度当初計画に比べ、物品費及び旅費の執行額が下回った。研究の進行状況により必要となった経費を適切に研究費を執行した結果であり、計画の遅れ等に起因するものではない。次年度繰り越し分については、研究が効率的に遂行できるよう、次年度研究活動における物品費及び旅費に充当する。
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Research Products
(3 results)