2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural studies on meta-stable conformations of bisected glycan
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17K07303
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長江 雅倫 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60619873)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 糖鎖生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖は文字通り単糖が鎖状に重合した生体高分子であるが、蛋白質や核酸などと比較して運動性が高く、溶液中で複数の準安定構造の動的な平衡状態として存在する。糖鎖が取りうる準安定構造は、糖鎖の配列と密接に関係していると想定されているが、糖鎖の配列と立体構造の相関に関する研究はほとんど進んでいない。この原因には分岐構造を作る糖転移酵素の立体構造情報が圧倒的に不足していることにも起因する。 そのため2019年度はN結合型糖鎖にβ1-4結合による分岐構造を生成するマウス由来糖転移酵素に焦点をあて、生化学的および構造生物学的研究に取り組んだ。我々は未知の糖転移酵素にたいしてアミノ酸配列の相同性検索から新しい機能ドメインを発見し、レクチン活性があることを見い出した。そして大腸菌を用いて新規レクチンドメインを大量調製し、リガンド特異性や認識などの生化学的な性質を検討した。さらにレクチンドメイン変異体について蒸気拡散法を用いて結晶化に成功した。得られた結晶をヨウ化カリウム溶液に浸潤することで重原子誘導体結晶を作成し、Photon Factory AR-NE3Aビームラインにて長波長のX線回折データを収集し、単波長異常分散法(SAD法)によって位相を決定した。この位相決定には複数のデータセットを適切な組み合わせでマージすることが必要不可欠であった。得られた構造は意外にも植物に存在するレクチンに似ていた。詳細な構造比較から新規レクチンドメインの糖鎖認識様式が明らかにすることができた。今後は分岐鎖生成機構における新規レクチンドメインの役割について調べることで糖転移酵素の機能を明らかにしたいと考えている。
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