2017 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞内における余剰なリピッドボディの消失調節機構の解析
Project/Area Number |
17K07467
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
林 八寿子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20228597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 和聡 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (70508457)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | リピッドボディ / 貯蔵脂肪 / 子葉 / 免疫電子顕微鏡 / 窒素飢餓 / 緑藻 / オートファジー / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)子葉細胞内でのリピッドボディの消失調節機構 シロイヌナズナの発芽後5日間暗所生育させた子葉細胞内にはまだリピッドボディが多く存在している。しかし、3日間暗所生育後の子葉に光を照射すると細胞は光合成能を獲得し、細胞内からリピッドボディは速やかに消失する。この子葉の緑化に伴う余剰な貯蔵脂肪の消失には、グリオキシソームの代謝機構に依存しない消失機構が存在していると考えられる。そこで、子葉細胞内に見られるリピッドボディを取り巻く膜状構造体に着目しながら、子葉の緑化過程でのリピッドボディの消失調節機構について解析している。 本年度は、まず、リピッドボディを取り巻く膜状構造体が光の照射によって誘導されて出現するのか調べた。その結果、光照射30分前後の子葉細胞において出現頻度が最も多いこと、その他の照射時間でも量は少ないがある程度出現していることが明らかとなった。また、オートファジー関連因子ATG8の抗体や小胞体にGFPが蓄積する株(GFP-h)株における抗GFP抗体を用いた免疫電子顕微鏡解析を行い、この膜状構造体が小胞体であるのか、オートファゴゾームであるのかを調べた。 (2)緑藻細胞内におけるリピッドボディの消失機構 緑藻細胞内における余剰なリピッドボディの消失調節機構を解析するために、本年度は、窒素飢餓により一旦形成が誘導されたリピッドボディが飢餓解除後にどのように消失するかを形態学的に調べた。ナイルレッド染色により窒素飢餓3日目には細胞内に明瞭なリピッドボディが形成されていることが確認できたので、窒素飢餓3日目および、その後飢餓解除して時間経過を追った細胞内の構造変化を電子顕微鏡で観察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子葉細胞内でのリピッドボディの消失調節機構については、計画通り実験を行い、光照射30分前後の子葉細胞において、リピッドボディを取り巻く膜状構造体が確実に存在していることを明らかにした。そして、この子葉細胞内に存在するリピッドボディを取り巻く膜状構造体の存在をフェリシアン化カリウムを用いた固定法によって明瞭に電子顕微鏡で捉えCytologiaのテクニカルノートに発表した。また、免疫電子顕微鏡解析からは、この膜状構造体が小胞体であることを示唆する結果を得ている。緑藻細胞内におけるリピッドボディの消失機構についても、計画通り実験を行い、現在までに、オートファジーである可能性を示唆するデータを得ていることから、初年度の目的は概ね達成されたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、現在行なっている電子顕微鏡解析を推し進め、確実なデータを揃えることを優先させる。また、計画書の通り、平成30年度からは、ペルオキシソームにおける脂肪酸β酸化系酵素の発現量やオートファジー関連因子の遺伝子発現量の解析、および脂質量の変化の測定に入り、これまでに得られている形態学的解析結果との考察や裏づけなどを行い、植物細胞における余剰なリピッドボディの消失調節機構について掘り下げていく予定である。
|
Research Products
(2 results)