2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of male sterility associated gene networks between mitochondrial and nuclear genomes in the cultivated strawberry
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17K07617
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
永野 聡一郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所林木育種センター, 主任研究員 (50753836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 裕司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, ユニット長 (50414678)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 雄蕊形態異常 / 細胞質雄性不稔 / 栽培イチゴ / 異質倍数体 / 花器官形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
栽培イチゴの花は雌蕊を囲んで複数の雄蕊が位置する両全花であるため、種子繁殖型一代雑種(F1)品種の育成の際に自殖種子の混入を避けるための除雄に多くの労力がかかり、種子生産コストが高いという課題がある。もし栽培イチゴで雄蕊が機能しない雄性不稔系統が作出できれば、自殖を予防し、効率的な育種が可能になるが、栽培イチゴでは雄性不稔を制御する方法の確立には至っていない。そこで本研究では栽培イチゴと野生種の交配による核置換を利用した雄性不稔系統を作出し、雄性不稔の原因となるミトコンドリア・核ゲノム間のネットワークを解析し、雄性不稔原因遺伝子・稔性回復遺伝子の同定に取り組むことを目的とした。 まず、野生種F. iinumaeと栽培品種の種間雑種戻し交配系統(BC2)に栽培品種「さちのか」を交配してBC3系統を作出した。この交配後代を促成栽培し、花器官が正常に発生する正常株5個体と、雄蕊や花粉が発達しない形態異常株5個体、また、次いで形態異常を示す20個体について、DNA抽出用に葉をサンプリングした。まず核置換が行えていることを確認するため、野生種F.iinumae、栽培品種、正常株5個体と形態異常株5個体について既存のイチゴの葉緑体のDNA配列多型マーカーを用いて配列解析を行った。その結果、母株のF. iinumaeと同じDNA配列多型パターンを示したことから、作出したBC3系統は想定通り野生種の細胞質を持つことが確認できた。これらの系統について、次世代シーケンサー用の全ゲノムショットガンライブラリを作成し、ゲノムの40倍の重複率でシーケンス解析を行った。取得したリードを栽培イチゴのリファレンスゲノム配列とデータベース上のミトコンドリア配列にマッピングし、ゲノム上のSNPとIndelを検出し、変異箇所のリスト化を行った。今後は遺伝子発現解析により候補遺伝子の絞り込みを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、野生種F. iinumaeと栽培品種の種間雑種戻し交配系統(BC2)に栽培品種「さちのか」を交配してBC3系統を作出し、形態評価とゲノムのリシーケンスを行なった。また、これまでに構築した栽培イチゴのリファレンスゲノム配列とデータベース上のイチゴのミトコンドリア配列に対してアラインメントを行い、SNP・Indelなど変異箇所の抽出を行いリストとして整備したことから、H29年度の計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
形態評価とゲノムのリシーケンスを行なった核置換BC3系統について、これらの解析後に予期せぬ病害の発生により、多くの個体が損傷してしまった。このため、別途育成していた核置換系統のF1・BC2・BC3系統を用いて遺伝子発現解析を行い、これらの系統のゲノムリシーケンスを進め、雄蕊形態異常原因遺伝子の絞り込みを行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初所内で行う計画であった核置換系統の全ゲノムリシーケンスについて、新たに次世代シーケンサーの解析コスト比較を行なったところ、外部委託の方が必要なデータ量を得るための解析を安価に抑えられることが判明し、シーケンス試薬などの購入に変えて委託費用を捻出した結果、解析費用を抑制することができた。次年度使用額については遺伝子発現解析を行う予定の新たな核置換系統のゲノムリシーケンス解析に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)