2019 Fiscal Year Research-status Report
熱帯果樹における染色体解析法の確立とその遺伝資源およびゲノム研究への適用
Project/Area Number |
17K07647
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 雅史 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (00305161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 俊哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 所長・部門長 (60355360) [Withdrawn]
奈島 賢児 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (30779616)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 染色体 / ゲノム / パインアップル / ピタヤ / 熱帯果樹 / rDNA / FISH / in situ ハイブリダイゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体は遺伝子の担体であり、これに関する情報を蓄積することは、育種・遺伝研究の発展に欠かせない。しかし、熱帯果樹においてはこの分野の研究が遅れている。そのため、わが国の主要熱帯果樹であるパインアップルおよびピタヤを供試して、本研究で開発した染色体標本技術を用いて、染色体解析を実施した。 パインアップルにおいては、昨年度までに酵素解離空気乾燥法による染色体標本作製技術の開発、CMAおよびDAPIによる蛍光染色および2種類(18S-5.8S-25Sおよび5S)のrDNAの蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)の確立に成功した。今年度は連鎖群に対応するプローブを独自に作製して連鎖群に対応する染色体の特定を試みたが、再現性のある明瞭なシグナルの確認は困難であった。 ピタヤにおいては、昨年度までに酵素解離空気乾燥法による染色体標本作製技術の開発、CMAおよびDAPIによる蛍光染色および18S-5.8S-25SrDNAの蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)の確立に成功した。今年度は5SrDNAの検出を試みたが、明瞭なシグナルは観察できなかった。次に、昨年度までに得られた染色体データを用いて核型分析を実施した。Hylocereus undatusとHylocereus costaricensisの染色体構成は極めて類似していた。両種において22本の染色体中、2本は次中部染色体および20本は中部染色体であった。2本の次中部染色体には18S-5.8S-25SrDNA遺伝子座が存在し、他の染色体と容易に区別可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パインアップルおよびピタヤの両者において、酵素解離空気乾燥法による染色体標本の作製法を確立し、蛍光染色およびrDNAのFISHについて確立した。これらの結果は、両果樹の細胞遺伝学研究における大きな進歩である。 しかしながら、連鎖群と対応する遺伝子および有用遺伝子の検出には成功していない。 以上のことから進捗状況を「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は産業上重要なパインアップルを中心に研究を進める。昨年度に引き続いて連鎖群に対応する遺伝子の染色体上での位置を決定する。さらに、有用遺伝子の染色体上での位置の検出も試みる。
|
Causes of Carryover |
パインアップルにおける連鎖群に対応するプローブの作製に予定以上の期間を要し、有用遺伝子のプローブ作製を実施することができなかった。そのため、プローブ作製およびその検出に必要な物品費の使用がなかった。また、新型コロナウイルス感染対策として学会大会が中止になり、旅費を使用することができなかった。 今年度は、繰り越した研究費を用いて更なる遺伝子の検出を行い、資料収集や情報交換および得られた成果の発表のため、学会大会にも参加する。
|
Research Products
(1 results)