2018 Fiscal Year Research-status Report
Construction of technology using pyrolysis materials for improvement of soil fertility
Project/Area Number |
17K07701
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
隅田 裕明 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70147669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川東 正幸 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (60297794)
野口 章 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20222193)
長坂 貞郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70318385)
小林 孝行 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10551228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 土壌肥沃度 / 資源再生利用 / 有機物分解 / 炭素循環 / 物質循環 / 植物生育 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品製造原料となる農産物の多くを国外から輸入する日本では、国内農産地でも廃棄農産物量が増加傾向にある。これら食品原料、廃棄農産物を土壌肥沃度の維持、向上を目的とした有機性廃棄物を供試試料として、加熱焼成温度の差異による水溶性肥料成分の溶出過程を検討した。 植物残渣としてクズ、モミガラ、竹、稲わらの4種、食品廃棄物として納豆くず、おから、コーヒー粕、鱗、カニの殻の5種の計9種類を供試した。各試料の化学特性についてクラスター分析を行った結果、高窒素含量グループⅠ(クズ、納豆くず、おから)、高ケイ素含量グループⅡ(モミガラ、稲わら)、高カリウム含量グループⅢ(竹、コーヒー粕)、高ナトリウム含量グループⅣ(鱗)、高pHグループⅤ(カニの殻)の5クラスターに分類された。 全炭素含量は焼成温度の上昇に伴い増加する傾向を示した。全窒素含量はグループⅠ、Ⅳ、Ⅴで高い結果を示し、グループⅠはマメ科に由来する試料であるため、窒素固定をする根粒菌との共生によって高い窒素含量を示した。グループⅣ、Ⅴではアミノ酸態窒素、アミノ糖態窒素を多く含むことが認められた。 稲わらを除く全ての試料において、CationとAnionの総量のバランスはΣCation > ΣAnionを示し、焼成処理による有機酸の生成が推察された。イオン量は300℃で最も溶出量が増加する傾向を示し、グループⅠ、Ⅱ、ⅢとグループⅣ、Ⅴではイオン組成が異なっていた。 以上の結果より、200℃~250℃では有機物の焼失が示唆され、250℃~300℃では無機成分の溶出量が上昇したことから、各種有機・無機成分の動態は、焼成温度の影響が大きい結果を示した。特に300℃では多くの試料でC/N < 20を示し、無機成分の溶出量が増加することから、焼成温度は300℃が適切であると判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加熱焼成温度と水溶性無機成分の検討から、焼成温度として300℃が適切であることが示唆された。得られた結果を多変量解析により解析した。 DOM(水溶性有機成分)の光学特性に関して三次元蛍光分光スペクトルを解析ソフトPeakFit (HULINKS)を利用し、日本腐植物質学会より頒布される標準腐植物質と比較した結果、DOMは琵琶湖フルボ酸に類似した形状を示した。また、1H, 13C -NMRによるWSOM解析およびHPSEC分析による分子サイズの測定が残されている。 加熱焼成抽出溶液の分解特性をCO2発生量より検討した結果、分解率はグループⅡ、Ⅲでは30%ケイ素質である他のグループでは炭化が進行し、分解率は低下する結果が得られた。 DOMを利用した発芽試験ではグループⅠ、ⅡおよびⅢでは発芽率、植物伸張率に生育促進効果が認められた。さらに植物栽培試験による養分吸収量と植物生育との関連を検討する必要が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
加熱焼成温度と水溶性無機成分、分解特性および発芽試験の結果より、焼成温度として300℃℃が適切であることが示唆された。本年度はWSOM(水溶性有機成分)の組成に焦点を絞り、65℃、300℃での加熱焼成物より得られたWSOM に関して1Hおよび13C -NMR並びにHPSEC分析による分子サイズの測定によりWSOMの差異を明らかにする。 植物生育への重要な要因は窒素供給であると考えられることから、加熱焼成物の有機態窒素画分の形態分析を実施する。 加熱焼成抽出溶液の分解特性をCO2発生量より検討した結果、ケイ素質では分解率が向上したが、他の資材では炭化過程が進行し分解率は低下した。さらに加熱焼成物のバイオチャーとしての役割を評価するため、加熱焼成物の分解特性を評価する。 DOMを供試した発芽試験では電気伝導度を基準として実施したが、本年度は有機物含量を基準として実施し、ノイバウエルポット試験を実施し、作物生育と無機成分吸収量について検討する計画である。
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Research Products
(1 results)