2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of feeding habit and prey availability on mortality in early life history of coastal megabenthic animals
Project/Area Number |
17K07893
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
児玉 圭太 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (90391101)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生活史初期 / 食性 / ペプチド核酸 / 次世代シーケンス / 東京湾 / 甲殻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京湾で稚シャコを採集し、目視により消化管内容物の存在が認められた稚シャコ15検体について食性解析を実施した。幅広い生物分類群の28S rDNAを増幅するユニバーサルプライマー、およびホスト生物(シャコ)のDNA増幅を特異的に阻害するためのPNAプローブを用いたPCRの反応条件を再検討し、増幅産物を用いてMiSeqによる次世代シーケンス解析を行った。増幅産物からシャコ類のDNAが検出されたが組成比は0.5%であり、PNAによりシャコ類DNAの増幅阻害を行うことが可能であることが示された。検出された生物分類群の組成比を調査した結果、渦鞭毛藻をはじめとする藻類が64.6%、菌類等の餌生物ではないとみられる分類群が13.3%を占めた。この結果は、シャコの摂餌にともない、消化管内にこれらの生物分類群を含んだ環境水が混入することが要因と推察される。一方、増幅産物中において餌生物である可能性のある分類群および組成比は、甲殻類8.4 %、軟体類5.4%、多毛類5.1%、扁形類2.6%であった。棲息環境中における餌選択性を調査するためIvrev指数を算出した結果、甲殻類で0.97および軟体類で0.36と高い嗜好性を示した一方、多毛類についての嗜好性は-0.79と低かった。ただし、Ivrev指数の算出においては、環境中の餌生物密度は採泥器により採集されたベントス類に基づいており、魚類や底層直上水に浮遊している生物群の密度は過少評価されているので、より高精度の餌選択性を推定するためにはこれらの生物群の密度も反映させる必要がある。以上の結果より、稚シャコの消化管内容物においては甲殻類、軟体類および多毛類が主要構成物であると推定された。
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