2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of Structural Change in Paddy Agriculture under Reorganization of Direct Payment Policy
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17K07958
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西川 邦夫 茨城大学, 農学部, 准教授 (00726820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大仲 克俊 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (80757378)
安藤 光義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40261747) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水田高度利用 / 直接支払政策 / 米輸出 / 水田農業の担い手 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、日本国内の調査を中心に研究を実施した。具体的には、日本の水田農業の生産性上昇に土地生産性の側面からアプローチするため、二毛作を中心とした水田高度利用の優良事例として栃木県、宮崎県、岡山県の水田農業の実態調査を行った。土地生産性への注目は、2017年度のアメリカ調査から得られた視点である。日米の稲作生産性格差のかなりの部分が、土地生産性の差に起因している。栃木県は北関東二毛作地帯として、宮崎・岡山県は「西南暖地」として、二毛作が比較的容易な地域に属する。優良事例の分析により全国的な示唆が得られるとともに、相対的に生産コストが高い西日本の水田農業の生産性上昇を見通すことができる。 研究の成果として、①行政・農協が一体となった水田利用の担い手づくり(宮崎県は集落営農組織、岡山県は個別経営、栃木県は両方)、②産地交付金等の交付金による誘導、③畜産振興と連動した耕畜連携(飼料米・飼料稲による畜産経営との連携)の取り組みがいずれの地域においても特徴として明らかにすることができた。いずれも生産調整対応であり、また交付金に頼った取り組みではあるが、大規模かつ生産性の高い経営が水田高度利用を実現していた。2018年産から生産調整政策の見直しが行われたが、上記地域では今後も安定的に水田高度利用が継続していくことが展望できた。 また茨城県においては、生産調整への取り組みを通じた米輸出の実態調査を行った。茨城県は輸出産地としては後発であるが、県及び農協系統による振興によって、飼料用米に代わる転作作物として作付面積が増加している。新潟県の米輸出組織への調査と比較しながら、茨城県における輸出用米の生産・集荷・流通の実態を把握することができた。また、県試験場への聞き取り調査等を通じて、多収性品種の作付と組み合わせることで、今後の生産拡大が期待できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実態調査の実施とともに、研究成果の取りまとめも随時進めている。本プロジェクトメンバー全員の業績として、査読論文3本、著書2本の成果を上げることができた。また、当初の予定通り国内調査を中心に研究を進めたため、その点も上記評価の根拠としている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度のアメリカ調査、2018年度の国内調査の成果を受けて、2019年度は西川が中心となった編著の編纂、及び学会発表・論文投稿を予定している。アメリカ(カリフォルニア州・アーカンソー州)調査及び国内調査(茨城県・栃木県・宮崎県・香川県等)を継続しつつ、研究成果の取りまとめを中心に今後の研究を進めていきたい。また、2018年度と同様に土地生産性上昇に焦点を当てて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2018年度配分額に対しては概ね計画通りの支出となったが、2017年度からの繰越額が約36万円あったので、次年度使用額が約43万円となった。2019年度はアメリカ出張を再度実施することで、次年度使用額を使用することとしたい。
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Research Products
(13 results)