2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Structural Change in Paddy Agriculture under Reorganization of Direct Payment Policy
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17K07958
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西川 邦夫 茨城大学, 農学部, 准教授 (00726820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大仲 克俊 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (80757378)
安藤 光義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40261747) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水田農業 / カリフォルニア / ベトナム / 国際競争力 / 多面的機能論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,2017年度から19年度にかけて,主に実態調査に基づき日本国内では各地の水田農業の構造変動を,海外ではアメリカ・カリフォルニア州の稲作の実態を明らかにしてきた。それを通じて,日本の稲作が国際市場において生き残るための方向性を模索してきた。 日本国内においては,政策的助成を前提としつつ,①福井・愛知・山口・岩手・新潟の大規模法人では,直接支払交付金への依存と経営の粗放化が進んでいること,②茨城では専用品種による飼料用米の作付拡大によって,作業適期の拡大と単収上昇の動きがみられること,③茨城では米の組織的な輸出が進展していること,④海外での需要増加により清酒の輸出が増加し,新潟では酒造会社が酒米を生産することで地域農業に正の効果を与えていること,が明らかにされた。海外においては,カリフォルニア州の稲作は日本と比べて規模が大きいだけでなく単収水準も高く,冬期湛水を実施することで環境親和性も高いことが明らかにされた。 なお,当初の研究計画には入っていなかったが,研究分担者を中心としてベトナム農業との比較研究にも一部着手した。ベトナム農業との比較分析は,本研究プロジェクトに奥行きを与えるものとなった。 3年間の研究を通じて,海外市場をターゲットとした日本の稲作の展開は始まったばかりであること,農地集積が完了した産地から規模拡大重視から単収上昇重視によるコスト低減が可能な経営への転換が可能と考えられること,を結論づけることができた。また,カリフォルニア稲作が経済的効率性と環境親和性を両立していることは,小規模農業の優位性を強調する多面的機能論への疑問を提起した。本研究の内容は,『環太平洋稲作の競争構造:農業構造・生産力水準・農業政策』として2020年度に出版予定である(科研費(研究成果公開促進費)の交付が内定している)。
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Research Products
(8 results)