2017 Fiscal Year Research-status Report
イノベーションプロセスの多様化に対応した普及指導活動と人材育成に関する実証的研究
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17K07982
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Research Institution | 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研究研修センター) |
Principal Investigator |
上田 賢悦 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研究研修センター), 企画経営室, 主任研究員 (70611226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 誠喜 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90225095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 普及指導員 / イノベーションプロセス / 混合研究法 / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は,担い手の多様化に伴う新たな普及活動に適応可能な普及指導員を効率的・効果的に育成するために,イノベーションプロセスの変化という視点から「「普及指導活動がどのように変化しているのか」,そこでは「普及指導員はどのように学び成長しているのか」という成長プロセスを解明し,普及指導員の人材育成方策を提起することを目的とするものである。 課題1年目の本年度は,以下の2点について研究成果を得ることができた。 1点目は,秋田県大館市ヤマノイモ産地を対象に,生産者から得られたイノベーションに関する定性情報の内容分析と,それらを定量的情報に変換してから統計分析を実施するデータ収集・分析手法(混合研究法)を開発し,青果物産地のおけるイノベーションプロセスの変化を把握した。そこでは,農業経営上の課題解決のための優良なアイデアや「種」を農家に提示し,農家,研究者,関連組織が協働して技術を創る「場」をマネジメントする普及活動が求められていることを確認した。 2点目は,普及指導員の人材育成業務を担当する各都道府県の農業革新支援専門員を対象としたアンケート調査により(47都道府県のうち42件を回収),普及指導員の人材育成の現状と課題を確認した点である。各都道府県では,普及指導員の専門や行政能力等を高めるOff the Job Trainingや特定のトレーナーによるOn the Job Trainingを中心とした人材育成活動により普及指導員の人材育成を行っているが,その仕組みを整えるためのマネジメントは十分に行われていないことが明らかになった。そこで,人材育成活動とそのマネジメントの実施・充足状況を主成分分析により総合的評価をしたところ,マネジメントの充足加えて人材育成活動とマネジメントとの連動が,人材育成の成功につながる要因になっている可能性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は大きく以下の2点について進めた。 1点目は,青果物産地のおけるイノベーションプロセスの変容とそこで求められる普及指導活動の課題の把握を行った。具体的には,全国で初めてヤマノイモ用2条植え半自動移植機を開発した秋田県大館市のヤマノイモ生産部会を対象としたヒアリング調査により,普及活動の在り方について検討した。ただし,当初予定していた九州地方および関東地方の普指導員および普及指導活動の対象者へのヒアリング調査が,先方との日程が合わず実施できなかったが,研究全体の進捗には大きな影響はない。 2点目は,当初計画を変更して実施した各都道府県庁の農業改良普及事業主務課へのアンケート調査(全体調査)により,都道府県段階における普及指導員人材育成施策のトレンドと課題を把握した上で,国段階および都道府県段階でのヒアリング調査(抽出調査)を実施したことで,次年度における主要課題である「(普及指導員の)経験学習プロセス」の把握に向けた準備を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の通り,2年目については,普及指導員の経験学習の把握,そして経験学習プロセスの分析を行う。なお,本年度実施できなかった,九州地方および関東地方に加えて,北海道・東北地方の都道府県庁農業改良普及事業主務課および普及センターを対象としたヒアリング調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
1点目は,九州地方および関東地方の普指導員および普及指導活動の対象者へのヒアリング調査が,先方との日程が合わず実施できなかったこと(旅費および謝金の未使用額の発生)。2点目は,ヒアリング調査で収集したデータの整理・分析を依頼するアルバイトを必要日数分確保できず(募集の不調等),申請者自身による作業が増えたこと(人件費・謝金の未使用額の発生)。加えて公用車使用などにより旅費の節減に計画以上に努力したためである。
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