2020 Fiscal Year Research-status Report
イノベーションプロセスの多様化に対応した普及指導活動と人材育成に関する実証的研究
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17K07982
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
上田 賢悦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70611226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 誠喜 昭和女子大学, 生活科学部, 教授 (90225095)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 普及指導員 / 経験学習 / 熟達化 / PAC分析 / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は,担い手の多様化に伴う新たな普及活動に適応可能な普及指導員を効率的・効果的に育成するために,イノベーションプロセスの変化という視点から「普及指導活動がどのように変化しているのか」,そこでは「普及指導員はどのように学び成長しているのか」という成長プロセスを解明し,普及指導員の人材育成方策を提起することを目的とするものである。 これまで,臨床心理学的手法を用いた定性的なアプローチから普及指導員の成長や学習についてその促進要因を析出することを進めてきた。今年度も普及指導員としての「信念」と,その信念を形成する要素となる「メタ認知知識」に着目した定性的なアプローチを進めるため,PAC(Personal Attitude Construct)分析を用いたヒアリング調査を計画したが,新型コロナウイルスの感染拡大から調査を差し控えた状態にある。そこで年度途中から調査計画を変更し,普及指導員個々人へのアンケート調査を実施して定量的な分析を行っている。具体的には,普及指導員の成長プロセスの解明を目的として、10県(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県,茨城県,千葉県,滋賀県,三重県)の普及指導員および農業革新支援専門員を対象にアンケート調査を実施した(1,037名の回答を回収)。木村ら(2011)による経験学習尺度を用いて評価した「経験学習実行度」と「成長実感」「普及指導員としてのポジティブな感情」「職務適応」との関係性について,分析を進めている。 更には,上記の普及指導員を対象とした調査に加え,農業後継者・経営者を対象とした人材育成プログラムの開発から実践までのプロセス評価を教育工学的手法であるADDIEモデルに依拠して実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況を以下の点から評価した。 1点目は,10県(青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形県,福島県,茨城県,千葉県,滋賀県,三重県)の普及事業主務課と連携を図りながら量的なアンケートデータを収集できた。 2点目に,普及指導員に加えて,農業後継者・経営者等を対象とした調査分析を進めることで,農業・農村における一体的な人材育成研究の展開を図るための基礎データを収集することができた。 3点目に,以上の研究成果等を含めて雑誌論文(6件)を公表できた。 しかし,本研究では,各都道府県普及事業主務課の協力を得ながら普及指導員に対面した現地調査が欠かせないが,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,これらの調査先との連携を中断せざるを得ない状況となっている。よって,研究期間を再度1年間延長することにより,これらの調査・分析を継続する必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査研究で、普及指導員の成長や学習について定性的な要因を析出することができたが,最終年度としてはこれを踏まえて実施した普及指導員個々人へのアンケート調査結果の分析を進めていく。また、昨年度その調査を見送ったヒアリング調査を実施する予定である。 さらに,分析結果を調査対象とした普及指導員,都道府県普及事業主務課等にフィードバックする作業を行い,整理された知見について議論し,それらの妥当性を確認する。また,研究全体の統括・取りまとめを行うともに,普及指導員の人材育成を進めるためのマネジメントのあり方について提言することで,研究成果の学術的な位置付けを図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い,当初計画で予定していたヒアリング調査の実施を見送ったために旅費等の支出が発生しなかったからである。また,新たに実施したアンケート調査で収集したデータの整理・分析を依頼するアルバイトを,コロナ禍のために必要日数分確保できず,申請者自身による作業が増えたためである。 次年度は、複数の都道府県の普及指導員を対象としたヒアリング調査を実施することで,役務費,人件費等の支出を予定している。また,「最終年度の成果とりまとめ」に関する研究分担者との打ち合わせ,さらには学会等での成果発表,などの旅費経費を予定している。繰り越し予算も含め,最終年度における予算としては過不足なく使用できる予定である。
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Research Products
(6 results)