2017 Fiscal Year Research-status Report
Association between Polymorphisms of Temperament Related Genes and Behavioral Traits in Japanese Black Cattle.
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17K08064
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
豊後 貴嗣 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40325361)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気質 / 遺伝子多型 / 行動特性 / 肉牛 / 扱いやすさ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、4県の試験場(島根、愛媛、和歌山及び山口)において、行動反応試験及び気質質問調査を合計48頭について行った。また、遺伝子多型は、MAOA、CRH及びLEPTINについて解析した。(1) 肉牛の気質分析のために質問調査票の質問ごとの関係性を検討した結果、クラスター分析によって質問項目間の類似度、非類似度が確認され、15項目は3~4つの質問で構成される4カテゴリー、さらにストレス耐性に関わる質問群と飼育のしやすさに関わる質問群の2カテゴリーからなる2群に分類されることが明らかとなった。また、主成分分析の結果より、本質問調査によって個々の気質を検出し得ることが明らかとなった。(2)本質問調査票の有効性を検証するために、モンゴル自治県において飼養されている黄牛の雌を対象に行った調査に当てはめて見たところ、質問調査15項目のうち6項目において、飼育環境による違いが示された。(3)4種行動試験の有効性について検討した結果、「給餌時接近試験」が他の全ての行動試験と正の相関を示すことが明らかとなった。また、主成分分析の結果から、負荷量の成分量に違いがみられたことから、4種の行動試験いずれもが有効であることが明らかとなった。(4)行動特性と遺伝子多型との関係について調査したところ、CRHについては、Cを持つ個体が質問調査の“気分屋”の項目においてスコアが高く、LEPINでは、“気分屋”の項目においてCC>CT>TTの順に高い値となることが示された。また、行動試験においては、Tを持つ個体の方が餌よりも人への興味が強いことが認められた。MAOAについては、Tを持つ個体の方が初対面のヒトに対する恐怖心が少ない傾向にあった。以上の結果から、質問調査および行動試験によって肉牛の行動特性や気質を判別できること、またそれらと種々遺伝子多型との間に関係のあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定頭数(80-90頭)に到達できなかったが、行動反応試験及び質問調査票の有効性は検証されるとともに、平成30年度の「管理方法の違い」についても質問調査票によって検出できることが証明された。また、遺伝子多型の解析についても手法が確立され、滞りなく解析が進行できるものと確信できることとなった。したがって、計画全体としてはおおむね順調に進展しているものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象(県試験場や大学など)を増やして、サンプル数を増やすとともに、計画された遺伝子多型の対象(セロトニン・トランスポーター、ドーパミン受容体など)に加えて他の候補遺伝子についても速やかに解析を行なう。また、すでに出荷された個体のデータも解析に加える。
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Research Products
(1 results)