2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of severity for bovine respiratory diseases couples with polymicrobial infection
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17K08080
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岡林 環樹 宮崎大学, 農学部, 教授 (10359995)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 牛呼吸器症候群 / 牛RSウイルス / パスツレラ / 牛呼吸器上皮細胞 / ICAM-1 / PAF受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
牛呼吸器症候群(BRDC)の重症化機序を明らかにするために、牛呼吸器上皮細胞における牛RSウイルス(BRSV)感染時のPasteurella multocida(PM)の付着性に関連する細胞表面分子ついて検討した。 BRSVが感染した喉頭、気管、肺胞由来上皮細胞を対象としたプロテオミクス解析を実施し、BRSV感染により影響を受ける細胞表面分子を網羅的にスクリーニングした。喉頭上皮細胞では、BRSV感染によりICAM-1の発現が有意に抑制された。また肺胞上皮細胞ではPAF受容体の発現が他の細胞よりも有意に亢進された。 喉頭上皮細胞において、ICAM-1機能をその特異的抗体やsiRNAにより抑制すると、PM付着能が低下することを確認した。このことは、ウイルス感染がない状態では喉頭上皮細胞がICAM-1を介してPMを結合するが、BRSV感染によりICAM-1発現が抑制されて、それに伴いPMが下部気道に流れる可能性を示唆した。この結果上部気道ではICAM-1を介して。下部気道への細菌侵入を防ぐ”Gateway”機能があり、その機能がBRSVにより破綻することを明らかにした。また、下部気道の肺胞上皮細胞ではBRSV感染により亢進されたPFA受容体は、その特異抗体、siRNA、阻害剤によりその機能を抑制すると、PMが結合しなくなることを確認した。またウシ由来PAF受容体遺伝子をクローニングし、その発現プラスミドを導入した細胞においては、PMの結合能が亢進していることを確認し、PMとPAF受容体とが単独で結合することを確認した。つまりBRSV感染がPAF受容体発現を亢進し、PMの結合を促進することが、BRDCの重症化機序であることを突き止めた。 このようにBRSV感染は、上部気道では、細菌感染に対する防御壁を解放し、下部気道では、細菌付着亢進によりBRDCの重症化を促していると考えられる。
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Research Products
(2 results)