2019 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of in vitro fertilization and intra-cytoplasmic sperm injection techniques for effective use of gametes of dogs with high genetic value
Project/Area Number |
17K08115
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
堀 達也 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (80277665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 幸之助 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (60445830)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 犬 / 豚卵母細胞 / ICSI / 凍結精液 / 低温精液 / 雄性前核 |
Outline of Annual Research Achievements |
犬における細胞質内精子注入(ICSI)技術の確立を目的とした予備的な研究の1つとして、異なる保存処理を行った犬精子を使用してICSIを実施し、その後の雄性前核および雌性前核の形成率を観察することで、保存精子の違いが正常受胎率(または胚発生率)に影響を及ぼすかどうかについての検討を行った。ただし、現在までに犬卵母細胞の体外培養技術が確立されていないことから、今回は犬の卵母細胞の形態によく似ている豚卵母細胞を使用して実験を行った。 豚卵巣から卵母細胞-卵丘細胞複合体を採取し44~48時間、高性能ブタ卵子成熟用基本培地を用いて体外成熟培養を行った。精液は、雄ビーグル犬2頭から用手法によって採取したものを使用した。実験群として1)新鮮精液(新鮮精子群)、2)射出精液を卵黄トリス・フルクトース・クエン酸液(EYT-FC)で希釈し、7日間4℃で保存した低温保存精子(低温保存精子群)、3)EYT-FCを用いて作成した凍結保存して融解した精子(凍結融解精子群)を設定した。また、上記実験群の他に、注入刺激のみ行う4)Sham群を設定した。ICSIは、倒立顕微鏡にマイクロマニピュレーターおよびピエゾドライブユニットを搭載したものを使用して行った。ICSI後、ブタ胚発生用培地を用いて上記と同様の培養を約18時間行い、その後、固定および染色を行い、核相の観察を行った。 その結果、新鮮精子群、凍結融解精子群、低温保存精子群で注入に成功した卵母細胞数はそれぞれ36個、20個、23個で、そのうち精子の活性として正常に受精した卵母細胞の割合はそれぞれ21個(58%)、11個(55%)、13個(56%)で、精子の違いによる成功率(雄性前核形成率)には差はみられなかった。したがって、ICSIにおいて注入する犬精子は保存の違いによって、その後の胚発生に差が生じないことが示唆された。
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