2019 Fiscal Year Annual Research Report
Derivation of haploid cynomolgus monkey ES cells
Project/Area Number |
17K08146
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
下澤 律浩 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 主任研究員 (50300786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一朗 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 客員研究員 (90171470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発生工学 / 一倍体 / ES細胞 / 顕微操作 / カニクイザル / 遺伝子改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
カニクイザルにおいて、多能性幹細胞やゲノム編集技術などを用いた遺伝子改変個体の効率的な作出方法は確立されていない。また単胎動物であり、長い妊娠期間の後に漸く生まれる仔の遺伝子が正常であることも想定される。一倍体ES細胞を使用したマウス個体の作出が報告されたことから、本研究では、遺伝子改変カニクイザルの作出に貢献すると考えられる一倍体ES細胞の樹立に関して検討した。 顕微受精後に形成された雌雄前核の内、雄性前核を除核し、体外培養した。その結果、形態的には良質ではない胚盤胞への発生を確認した。また、精子には遺伝子上にマーカーとなり得る遺伝子変異を持ったカニクイザル家系が見つかったことから、この家系由来のものも使用した。この場合は雌性前核を除去した。これら一前核を除去した一倍体卵は、正常な受精卵が発生して観察されるような大きな胞胚腔を持つ良質な拡張胚盤胞に成長することなく、発生を停止した。次に成熟卵に対して人為的に活性化処置を行い、一倍体の雌性ゲノムのみを持つ1前核2極体卵を作出し、体外培養した。その結果、形態的に良質な拡張胚盤胞への発生を確認した。ES細胞の樹立のために、摘出した内部細胞塊を培養したところES様細胞を得た。このES様細胞において、Oct-3等の未分化マーカーの発現および一倍体を示す21本の染色体を持つ細胞も存在することが確認された。 受精卵から作出した一倍体卵よりも単為発生により作出された一倍体卵で、良質な拡張胚盤胞への発生が確認された。さらにそれからES様細胞の樹立に成功したことは、雌性ゲノムのみを持つ一倍体卵の発生およびES細胞の樹立には、精子およびその受精刺激等の関与は必ずしも必要ではないこと、および人為的な活性化処理が適していることが示唆された。
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