2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms by which microglia enhance the functional maturation of blood brain barrier
Project/Area Number |
17K08330
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
佐藤 薫 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (10311391)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / ミクログリア / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリアによって血液脳関門(blood brain barrier: BBB)のバリア機能が向上することを in vitro BBB モデルによって明らかとした。バリア機能の向上は trans-endothelial electrical resistance (TEER) 値の上昇、タイトジャンクションタンパク質である Claudin-5 の発現上昇によって確認した。ミクログリアが BBB のバリア機能を向上させる条件において周囲サイトカイン・ケモカイン濃度が変動していることを網羅的解析によって明らかとしたが、特に、X の濃度上昇、Y の濃度低下が重要であることがわかった。X は TEER 値を上昇させ、Y は X 共存下でタイトジャンクションタンパク質の発現を上昇させた。さらに、これら 2 種のサイトカイン・ケモカインはミクログリアが直接放出していなかった。X はアストロサイトが主な放出細胞であること、血管との共存で放出を抑制されていること、ミクログリアがこの抑制を取り除くこと、Y は血管から主に放出されていること、この放出をミクログリアが抑制すること、を明らかとした。以上の結果は、ミクログリアが neurovascular unit を構成する細胞と相互作用することによって、BBB 周囲のサイトカイン・ケモカインの最終濃度を決めることにより、BBB 機能を調節していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 29 年度は in vitro BBB モデルを用いて BBBバリア機能成熟にミクログリアが必須であるかどうか、ミクログリアの BBB バリア機能成熟機能に関与するサイトカイン・ケモカインの解明、それらの濃度、濃度調整に関わる neurovascular unit 細胞間の相互作用の解明、が到達目標であった。これらの目標は全て達成されており、予定通りの進行である。現在、この発見を齧歯類動物を用いた in vivo 実験で検証するため、動物実験計画手続きを進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクログリア補充 in vitro BBB モデルを用いて明らかとなったBBBバリア機能成熟へのミクログリアの関与、ミクログリアの作用とサイトカイン・ケモカインの関連、その濃度調節機構が血管形成後の BBB 形成とバリア機能成熟に寄与している可能性を in vivo 実験で検証する。そのために、BBB バリア機能成熟の経日的変化の検討を種々のサイズのトレーサー適用、タイトジャンクションタンパク質発現、等によって定量評価する。In vivo BBB 機能成熟へのミクログリアの関与を検討するため、リポソームでカプセル化した薬剤の適用を行う。この動物を用いて、バリア機能や、上記で明らかとした X, Y といったサイトカイン・ケモカイン濃度を測定する。以上の検討により、血管形成後の速やかな BBB 機能成熟がミクログリアを介したメカニズムで達成されている可能性について明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度直ちに実験に使用する抗体があったため、購入費を次年度使用額とした。
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