2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms by which microglia enhance the functional maturation of blood brain barrier
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17K08330
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
佐藤 薫 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (10311391)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / ミクログリア / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、ミクログリアによって血液脳関門(blood brain barrier: BBB)のバリア機能が向上することを in vitro BBB モデルによって明らかとしている。また、このとき、周囲サイトカイン・ケモカイン濃度が変動していることを網羅的解析によって明らかとした。本年はなかでも、VEGF の濃度上昇、fractalkine の濃度低下が同時に起こることが重要であることを明らかとした。VEGF は TEER 値を上昇させ、fractalkine はVEGF 共存下でタイトジャンクションタンパク質の発現を上昇させた。さらに、これら 2 種のサイトカイン・ケモカインはミクログリアが直接放出していないことを明らかとした。VEGF はアストロサイトが主な放出細胞であり、健常時は血管因子が放出を抑制しているが、ミクログリアがこの抑制を取り除くこと、fractalkine は主に血管から放出されていること、これをミクログリアが抑制すること、を明らかとした。このような血管周囲の細胞間相互作用は BBB 崩壊時にも起こっていることも見いだした。BBB 崩壊時には多種の炎症性サイトカイン・ケモカインの濃度が上昇するが、高濃度で主要な炎症性サイトカイン・ケモカインはアストロサイトが放出していること、ミクログリアが放出する炎症性サイトカイン濃度はこれらに比較して非常に低濃度であること、血管からのfractalkine 放出をミクログリアが抑制していることを明らかとした。ミクログリアが neurovascular unit を構成する細胞と相互作用することによって、BBB 周囲のサイトカイン・ケモカインの最終濃度を決めることにより、BBB 機能を調節しているという我々の仮説をさらに支持する結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitro BBB モデルを用いた実験では、奏功している分子実体を明らかとし、予定通り順調に進行している。平成 30 年度から in vivo の検証実験に着手する予定であったが、研究所の川崎移転後、動物飼育施設の整備、使用ルール整備等が研究所全体で時間がかかった。申請者は動物実験委員としてこれらの環境整備の加速に努めた。動物実験計画書はすでに提出し、動物実験委員会による承認を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクログリア補充 in vitro BBB モデルを用いて明らかとなったBBBバリア機能成熟へのミクログリアの関与、ミクログリアの作用とサイトカイン・ケモカインの関連、その濃度調節機構が血管形成後の BBB 形成とバリア機能成熟に寄与している可能性を in vivo 実験で検証する。BBB バリア機能成熟の経日的変化の検討を種々のサイズのトレーサー適用、タイトジャンクションタンパク質発現、等によって定量評価する。In vivo BBB 機能成熟へのミクログリアの関与を検討するため、リポソームでカプセル化した薬剤の適用を行う。この動物を用いて、バリア機能や、上記で明らかとした VEGF, fractalkine濃度を測定する。さらに、VEGF, fractalkine の濃度を特異的に変動させることで、これらのサイトカイン・ケモカインの BBB 成熟促進作用を証明する。以上の検討を総合し、血管形成後の速やかな BBB 機能成熟とミクログリアとの関連を明らかとする。
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Causes of Carryover |
in vivo 実験に遅れが生じたため、直ちに実験を開始するための消耗品購入費を次年度使用額とした。
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