2019 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of the effect of ion channel therapy for atopic dermatitis
Project/Area Number |
17K08514
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
海藤 俊行 鳥取大学, 医学部, 教授 (70268837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 免疫組織化学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎モデルマウス(雄性NCヘアレス)の耳介および背部にジニトロフルオロベンゼンを週に1回、5-6週間塗布したところ、予定通り慢性的な皮膚炎マウスを作成できた。このマウスの耳介毛包に分布する感覚神経(柵状神経終末)で感覚受容チャネル分子の発現を免疫組織化学的に検討した結果、TRPA1の陽性反応を確認できた。 この実験系を利用してアトピー性皮膚炎の一般的治療薬やチャネル分子阻害剤の有効性について検討した。投与した薬剤は、ステロイド系抗炎症薬、免疫抑制薬、抗ヒスタミン薬、TRPA1チャネル阻害剤である。それぞれの成分を含む軟膏を皮膚炎部位に1日1回2週間連続して塗布した結果、ステロイド系抗炎症薬と抗ヒスタミン薬が最も有効であったが、ステロイド系抗炎症薬には著明な副作用があった。TRPA1阻害剤にはある程度の炎症改善効果があった。免疫抑制薬の有効性は限定的であった。次に、TRPA1の発現の変化を検討したところ、TRPA1阻害剤投与例では発現が検出できなかった。一方、ステロイド系抗炎症薬ではTRPA1の発現は変化なく認められた。免疫抑制薬、抗ヒスタミン薬ではやや減少傾向を呈した。 さらに、動物数を増やしてTRPA1阻害剤に絞ってアトピー性皮膚炎への治療効果を検討した。TRPA1阻害剤を含む軟膏と軟膏基剤のみの投与による皮膚炎の治療効果を比較したところ、治癒率はTRPA1阻害剤を加えた方がアトピー性皮膚炎への効果が高い傾向が認められた。 以上の研究結果から、感覚受容チャネル分子TRPA1に対する阻害剤は、アトピー性皮膚炎モデルマウスの慢性皮膚炎に対して有効である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)