2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな心機能調節シグナル経路としてのCaMキナーゼIV:遺伝子欠損マウスを用いて
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17K08527
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
村上 学 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80302090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾野 恭一 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70185635)
大場 貴喜 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80431625)
阪上 洋行 北里大学, 医学部, 教授 (90261528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マウス / 遺伝子改変動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ca/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIV( CaMKIV ) の心筋における機能の解明が、本研究の目的である。「CaMKIVがL型電位依存性 Ca チャネル発現を誘導する。かつ、心筋における交感神経制御にも関与する。」という仮説を着想した。本研究ではCaMKIV欠損マウスを用い、①遺伝子発現、②個体(心電図、血圧、超音波)、③組織(心筋収縮、活動電位)、④細胞( Ca 濃度、 Caチャネル特性)における交感神経刺激に対する反応を精査し、仮説を検証する。欠損マウスにおける Caチャネル発現低下、交感神経刺激に対する反応性の低下等、断片的ではあるが仮説を支持する結果を得ている。本研究により CaMKIVを標的とする心筋保護治療への応用・展開が期待される。 メインプロジェクト( CaMKIV欠損マウスを用いた実験) a.心肥大、心収縮に関与する遺伝子発現の変化( CREB、 MEF2、 Caチャネルなど) b.個体における交感神経制御機構(交感神経刺激と心電図、超音波、血圧変動) c.組織レベルでの交感神経刺激に対する応答性(心筋の活動電位や収縮) d.心筋の初代培養細胞を用いる実験系:野生型、および CaMKIV 欠損マウスから心筋細胞を単離・培養し、遺伝子過剰発現系等を用い、 CaMKIV の重要性を検定する。 e.細胞レベルにおける変化(電位依存性 Ca チャネル特性を細胞内 Ca 濃度測定、Patch-clampで検定する。) a-dに関してはほぼ終了した。細胞内 Ca 濃度測定も実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進行している。共同研究者間の連絡も密である。今後は電気生理学的検討をさらに加え、学会発表や論文発表を念頭に、さらに研究を遂行する。 CaMKIV欠損マウス心筋において、電位依存性カルシウムチャネル( CaV1.2 )の発現低下を見出した(RT-PCR と免疫染色)。予想される機序は下記の2通り。①CaMKIV欠損により、 CREBリン酸化が低下。②リン酸化 CREB 減少により、 Ca チャネル( CaV1.2 )の転写が低下。 CaMKIV欠損マウス心筋において、活動電位持続時間の短縮を認めた。 Ca チャネル発現の低下に伴い、心筋活動電位の維持に重要な Ca チャネル電流量が低下したはずである。陽イオン流入が減少するので、活動電位持続時間の短縮が起こったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は計画通り、電気生理学的検討中心に研究を遂行する。 細胞内PKA(protein kinase A)活性を測定する実験系を確立、応用し、カルモジュリンIVの有無によるPKAへの影響を精査する方向で、発展させるべく努力する。
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Causes of Carryover |
研究が既存の機器・試薬で予定以上の速さで進行している。論文校正・投稿費用、学会参加費用等も考慮し、出来るだけ節約に努めた。次年度以降、電気生理学的検討など、費用が高い実験を予定している。次年度以降は、相応の予算の使用を予定している。
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Research Products
(3 results)