2018 Fiscal Year Research-status Report
アクティブゾーン蛋白質ELKSのインスリン極性分泌における役割
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17K08547
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 教授 (40201941)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インスリン分泌 / 極性分泌 / アクティブゾーンタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞からのインスリン分泌は毛細血管方向へCa2+依存性に極性分泌されることが示唆されているがその分子機構は未だ明らかではない。一方、神経終末からの神経伝達物質放出はプレシナプス膜直下にあるアクティブゾーンと呼ばれる限局した部位で起こり、アクティブゾーンに局在するELKSをはじめとするアクティブゾーンタンパク質が電位依存性Ca2+チャネルと共にシナプス小胞の極性分泌を調節していることが知られている。本研究では、インスリンの血管方向への極性分泌の分子機構を明らかにする目的で、ELKSによるインスリン分泌調節メカニズムを膵β細胞特異的ELKS欠損(ELKSβKO)マウスを用いて調べた。昨年度までの研究により、1)膵島内でELKSが毛細血管側のβ細胞膜近傍に偏って局在していること、2)ELKSは電位依存性L-type Ca2+チャネルを促進性に調節し、β細胞からのグルコース応答性インスリン分泌第1相を調節していることを明らかにした。今年度は、1)生化学実験によりELKSは電位依存性L-type Ca2+チャネルのβサブユニット(β2, β3)内のGKホモロジードメインに選択的に結合していること、2) 膵島内β細胞膜のCa2+イメージングをCa2+センサーである膜結合型G-CaMP8bを用いて行った結果、グルコース刺激下でのCa2+シグナルは毛細血管側のβ細胞膜で先行して局所的に出現し、ELKSβKOマウスβ細胞ではそのCa2+シグナルが低下することを明らかにした。以上の結果より、毛細血管側のβ細胞膜に局在しているELKSは電位依存性L-type Ca2+チャネルと複合体を形成することにより、毛細血管側のβ細胞膜でグルコース刺激により直ちに引き起こされるCa2+流入を促進させ、インスリン分泌第1相の血管方向への極性分泌を調節していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵β細胞特異的ELKS欠損(ELKSβKO)マウスを用いることにより、生化学実験、電気生理学実験及びイメージング解析を 概ね計画通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウス膵島ではELKSの発現が低下していることがわかったため、来年度はELKS発現低下による極性分泌の破綻と2型糖尿病における分泌低下との関連を明らかにする計画である。
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Causes of Carryover |
今年度と来年度と跨がる試薬費と実験動物費を多く見積もったための差額である。来年度の実験に必要な試薬費と実験動物費として使用予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] ELKS/Voltage-dependent Ca2+ channel-β Subunit Module Regulates Polarized Ca2+ Influx in Pancreatic β-Cells.2019
Author(s)
Ohara-Imaizumi, M., Aoyagi, K., Yamauchi, H., Yoshida, M., Mori, M.X., Hida, Y., Tran, H.N., Ohkura, M., Abe, M., Akimoto, Y., Nakamichi, Y., Nishiwaki, C., Kawakami, H., Hara, K., Sakimura, K., Nagamatsu, S., Mori, Y., Nakai, J., Kakei, M., and Ohtsuka, T.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 26
Pages: 1213-1226
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] VAMP7 regulates autophagosome formation by supporting Atg9a functions in pancreatic β-cells from male mice.2018
Author(s)
Aoyagi, K., Itakura, M., Fukutomi, T., Nishiwaki, C., Nakamichi, Y., Torii, S., Makiyama, T., Harada, A., Ohara-Imaizumi, M.
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 159
Pages: 3674-3688
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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