2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K08564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大歳 維知子 (西島維知子) 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (70600394)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 神経発達 / セクレチン / Nrf2 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスの原因となる活性酸素種ROSは、脳神経細胞に障害を与える毒性因子として作用する一方で、細胞増殖等の生理的機能も持つことが近年明らかになってきた。申請者は、セクレチン受容体遺伝子欠損マウスで見られる社会行動異常が、抗酸化ストレス制御因子Nrf2遺伝子との二重欠損により、正常に回復することを見出した。そこで、「酸化ストレス量の低下がシナプス形成等の神経発達に悪影響を与え、その結果として社会行動異常を生じさせる」という作業仮説を立て、生後の幼若期の脳におけるセクレチン依存的なROSの関与と酸化ストレス応答遺伝子の動態を検証することにした。 平成29年度は、セクレチン受容体遺伝子遺伝子の高発現を確認している前頭前皮質領域と海馬領域に着目し、同領域のシナプス形成が活発となる生後21日齢における酸化ストレスの関与の解析を行ってきた。生後の時期依存的な脳内の酸化ストレス誘導領域を特定するため、生後21日齢の野生型マウスより脳組織(海馬、前頭前皮質領域)を回収し、サンプル調整と解析手法の最適化を推進した。また、同日齢における全身の酸化ストレス量との対応を図るために末梢血も同時に回収した。さらに、セクレチンシグナルの欠如によるROSの産生領域・産生量や酸化ストレス応答遺伝子の発現量の変化を解析するために、同日齢のセクレチン受容体遺伝子欠損マウスの生後発達期の脳組織と末梢血を回収し、解析を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度は野生型並びにセクレチン受容体遺伝子欠損マウス新生仔の解析を予定していたが、セクレチン受容体遺伝子欠損の母マウスを用いた繁殖が難航したため、予定していた生後4日・10日齢仔の解析を延期し、生後21日齢仔に集中して解析を行った。同遺伝子欠損マウスは季節の影響を受けやすいため、繁殖しやすい春と秋にマウス個体を用いる解析を集中的に実施し、それ以外の時期に培養実験や分子生物学実験を組み合わせて円滑に研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている生後21日齢マウス脳における酸化ストレス動態を明らかにすると共に、生後4・10日齢の新生仔での酸化ストレスの関与を観察する。 さらにマウス個体を用いた解析と並行して、神経細胞の培養系を用いた細胞レベルの研究を進める。具体的には、セクレチン受容体遺伝子欠損マウス新生仔海馬神経の細胞培養を行い、細胞内のROS蓄積量を (1) DCFアッセイ、(2)グルタチオン分別定量(GSSG/GSH)により測定する。さらに酸化ストレス産生としてNO産生量を培養液中のアシオ酸(No3-)を指標として解析する。また、細胞上の未熟な樹状突起棘の数と酸化ストレス量との関連性を調べ、Nrf2の発現量の減少により、酸化ストレス量並びに樹状突起棘形成能の低下症状が緩和されるかを検証する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は野生型並びにセクレチン受容体遺伝子欠損マウス新生仔(生後4・10・21日齢)の解析を予定していたが、セクレチン受容体遺伝子欠損の母マウスを用いた繁殖が難航しため、生後21日齢の解析に集中して予定していた生後4日・10日齢の解析を延期したため、未使用額が生じた。 そこで、平成30年度において生後4日・10日齢を含めたマウス個体の実験を実施して試薬・抗体を含む分子神経病理解析を進めると共に、培養実験や分子生物学実験を組み合わせて円滑に研究を実施する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Quality management of TMM biobank, population-based biobank in Japan2018
Author(s)
Ichiko Nishijima, Noriko Ishida, Hisaaki Kudo, Kaname Kojima, Riu Yamashita, Yosuke Kawai, Takahiro Nobukuni, Takahiro Terakawa, Atsushi Hozawa, Kozo Tanno, Soichi Ogishima, Mamoru Sato, Atsushi Shimizu, Makoto Sasaki, Masao Nagasaki, Masayuki Yamamoto, Naoko Minegishi, The Tohoku Medical Megabank Project Study Group
Organizer
Global Biobank Week (Joint Society of ISBER, BBMRI-ERIC,and ESBB)
Int'l Joint Research