2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K08564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大歳 維知子 (西島維知子) 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (70600394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉崎 嘉一 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 研究員 (50393161)
中村 孝博 明治大学, 農学部, 専任准教授 (00581985)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 神経発達 / セクレチン / 概日リズム / Nrf2 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスを誘発する活性酸素種ROSは、脳神経細胞の毒性因子として作用する一方で、細胞増殖の促進等の生理的機能を持つことが明らかになってきた。 申請者は、セクレチン受容体遺伝子欠損マウスで見られる社会行動異常が、抗酸化ストレス制御因子Nrf2遺伝子との二重欠損により、正常に回復することを見出し、さらにセクレチンがROS産生に関与を示唆する報告もあることから、「酸化ストレス量の低下がシナプス形成等の神経発達に悪影響を与え、その結果として社会行動異常を生じさせる」という作業仮説を立て、セクレチン依存的な酸化ストレス応答遺伝子動態の検証を進めてきた。 2019年度は、セクレチン受容体遺伝子の高発現を確認している生後14日齢の脳内の酸化ストレス誘導領域の特定を進めると共に、セクレチン受容体欠損マウスに対する酸化ストレスの影響の検討を進めていく上で、行動の概日リズムに与える効果を検証した。本研究は、明治大学農学部中村孝博先生との共同研究にて実施した。セクレチン受容体欠損マウスと野生型コントロールマウスの行動の概日リズムの解析に取り組んだ結果、セクレチン受容体欠損マウスにおいて恒暗条件下での活動周期がわずかながらも有意に短縮していることが明らかになった。次年度は本研究結果を精査し、さらに概日時計中枢である視床下部・視交叉上核とその出力先の神経領域におけるセクレチンと酸化ストレスの影響について解析を行う。さらに、セクレチン受容体欠損マウスならびに、Nrf2との二重欠損マウスに対する酸化ストレスの影響について、生後の神経発達期の解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用するセクレチン受容体遺伝子欠損マウスの繁殖は季節の影響を受けやすく、夏と冬は仔マウスの誕生・発育率が低下してしまうため、研究計画が遅れやすい。 そのため、今年度は解析週(日)齢に厳格でない成獣の解析を実施することとし、同マウスの行動の概日リズムの解析に集中した。その結果、一連の解析結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
セクレチン受容体欠損マウスならびに、Nrf2との二重欠損マウスに対する酸化ストレスの影響について、引き続き生後の神経発達期の解析を進め、結果をまとめる。
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Causes of Carryover |
今年度もセクレチン受容体遺伝子欠損マウスの繁殖が難航し、野生型マウス並びにセクレチン受容体遺伝子欠損マウス新生仔の解析に遅れを生じたため、代行手段として成獣における概日リズムへの影響の解析を進めてきた。そのため、仔マウスの実験用の試薬・抗体費の未使用額が生じた。 2020年度においては分担研究者と共に候補日齢の仔マウスの実験を実施して分子神経病理解析を進め、培養実験や分子生物学実験を組み合わせて円滑に研究を実施する。
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Research Products
(2 results)