2017 Fiscal Year Research-status Report
環境ストレス応答転写因子群の標的遺伝子選択特異性の分子機構解明
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17K08617
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
勝岡 史城 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (30447255)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 転写制御 / Nrf2 / Maf |
Outline of Annual Research Achievements |
環境ストレス応答の転写制御の一部は、CNC群転写因子と小Maf群転写因子(sMaf)のヘテロ二量体で制御されている。CNC群因子は機能的に多様化し、それぞれ特異的な遺伝子発現制御を担い、がん細胞の悪性化への貢献も注目されているが、その分子機序は充分に解明されていない。本研究では、CNC群因子の機能がsMafに依存する点に着目し、sMaf群因子の完全欠失細胞株を用いて、個々のCNC-sMaf二量体の特異的機能を評価する解析系を樹立することを計画している。本解析を用いることで、各Nrf1とNrf2の機能を個別に評価し、シス配列の差異を解析することが可能となる。 平成29年度は、解析系を樹立するに先立ち、小Maf群因子三重欠失マウスの線維芽細胞をNrf1の活性化剤であるMG132, Nrf2の活性化剤であるジエチルマレイン酸(DEM)で処理し、Nrf1およびNrf2の標的遺伝子の誘導がないことを確認した。また、Nrf1およびNrf2をフレキシブルリンカーを用いたMafG と融合させたテザード分子発現プラスミドを作成した。本プラスミドを一過性過剰発現にて培養細胞に導入し、レポーター遺伝子の活性化能を解析し、Nrf1-MafGおよびNrf2-MafGテザード分子が機能的であることを明らかにした。また、ヒト培養細胞におけるNrf1, Nrf2の結合部位を網羅的に解析する目的で、HepG2細胞を用いたChIP-シークエンス解析を行った。当初の実験条件では、Nrf2については良好な結果が得られたが、Nrf1については非特異的な結合のため、充分な精度の解析が出来なかった。免疫沈降後のウォッシュ液、洗浄条件を再検討し、両因子共に充分な精度で解析できる条件を決定することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は、主要な計画である小Maf群因子の完全欠失細胞株を用いたCNC-sMaf二量体の特異的機能を評価する解析系の樹立に関して、小Maf群因子三重欠失マウス由来線維芽細胞が、完全の小Mafの機能が欠失しており、Nrf1, Nrf2が機能できない状態であることを確認できた。また、テザード分子発現構築についても、機能的なものを構築できている。ヒト培養細胞を用いたChIPシークエンス解析については、解析条件の決定に時間を要したが、Nrf1, Nrf2両因子の特異的な結合を解析できる条件を決定することができた。よって概ね、計画どおり、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、テザード分子を小Maf群因子三重欠失細胞に導入し、安定発現細胞株を樹立する。この細胞において、Nrf1, およびNrf2テザード分子が機能的であるか、標的遺伝子活性可能、結合部位の網羅的な解析によって明らかにする。また、ヒト培養細胞においてのNrf1, Nrf2の結合部位データも取得し、両因子の結合プロファイルを解析していく。
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