2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of transformed housefly strains for screening of effective insecticides for controlling medically important pest insects
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17K08816
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
葛西 真治 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (80332360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20180169)
駒形 修 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20435712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イエバエ / Musca domestica / ゲノム編集 / CRISPR/Cas9 / ナトリウムチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
イエバエは比較的体が大きく,生理学的実験に用いやすい上に,飼育が容易で実験用昆虫として優れている.一方,衛生害虫の中にはサシチョウバエやヒゼンダニ,アタマジラミのように微小で飼育が難しい種が多く含まれる.これらの衛生害虫の中には殺虫剤に抵抗性を獲得して問題になっているものも少なくないが,扱いが容易でないため生物検定に向かない.本研究では,そういった微小・難飼育昆虫の生理学的解析をイエバエで可能にするためのゲノム編集技術を確立することを目的としている. 昨年度はイエバエのwhite遺伝子のノックアウトを試み,whiteよりデザインしたガイドRNAをCRISPR/Cas9タンパクとともにインジェクションした.実際にインジェクション後の卵より抽出したDNAを解析したところ,white遺伝子に欠損/挿入の痕跡が認められたものの,白色眼を有する個体を得ることはできなかった.今年度はインジェクションするガイドRNAの濃度やガラス管の形状などを微調整し,再度white遺伝子のノックアウトを試みた.その結果,白色眼を有する成虫を得ることに成功した.これにより,我々が構築した系でイエバエ遺伝子のノックアウトが可能であることが明らかになった. さらに,ピレスロイド剤抵抗性イエバエ系統Type-Dを実験材料としてピレスロイド剤の作用点ナトリウムチャネル遺伝子の選択的スプライシングエクソンのノックアウトを試みた.この選択的スプライシングエクソンの存在が一部のピレスロイド剤に対する感受性を高めているという仮説を検証するためである.数百個の卵にインジェクションを試みたが,卵の生存率が極めて低く,ノックアウト系統の確立には至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目終了時点でCRIPR/Cas9によるノックアウトを安定的に行えるようにする技術を確立することを目標としてきたが,white遺伝子のノックアウトが成功した一方,ナトリウムチャネルの選択的エクソンのノックアウトが成功に至らなかった.この遺伝子のノックアウトがlethalであった可能性も含めて検証が必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に引き続き,ナトリウムチャネルの選択的エクソンのノックアウトを試みる.ノックアウト系統が確立出来た場合,仮説通り一部のピレスロイド剤に対する感受性が低下しているかどうかを生物検定により確認する.また,当初の予定通り,遺伝子ノックインも試みる.具体的には殺虫剤感受性のナトリウムチャネル遺伝子に既知の抵抗性原因変異をもたらす遺伝子を導入し,ピレスロイド剤感受性が低下するかどうかを確認する.
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Causes of Carryover |
イエバエのVssc選択的スプライシングエクソンのノックアウトが予定通り進まず,当初予定していたゲノム編集技術を用いたノックインの実験に進むことができなかったため.ノックインに必要なガイドRNAの購入にあてる予定である.
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