2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08910
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大磯 義一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80543909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 真智子 浜松医科大学, 医学部, 特任教授 (80609090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 終末期 / アドバンス・ケア・プランニング / インフォームド・コンセント / シェアード・デシジョン・メイキング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度研究実施計画に基づき作成した「終末期医療におけるデシジョンエイド」案につき、平成30年3月に改訂された「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(厚生労働省)に沿う内容に改訂した。 平成30年度研究実施計画に基づき、患者6名に対するプレテストを実施する準備を行っている。 これまでの研究成果に基づき、大和市立病院(9月)、りすシステム生前契約25周年記念シンポジウム(11月)、近畿救急医学会(3月)にて発表を行った。 プレテストを行う準備を進め、現場の了承を経て、倫理審査委員会への申請を行う最中に、都内病院における透析中止事案に関する報道がなされた。 本事案が本研究に重大な影響を与える点として、「終末期」の定義が挙げられる。「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」(日本透析医学会)においては、「維持血液透析を安全に施行することが困難であり、患者の生命を著しく損なう危険性が高い場合」に維持血液透析の見合わせを行うとされており、報道では、中止事案において患者がそのような状況になかったのではとの指摘がなされた。 本提言が維持透析の見合わせという特殊な状況においての議論ではあるものの、「終末期」の定義を「生命維持が極めて困難な循環・呼吸状態などの多臓器不全や持続低血圧など、維持血液透析実施がかえって生命に危険な病態が存在」と記載されているなど、極めて限定的な場面に限っていることから、本研究において作成された「終末期医療におけるデシジョンエイド」案のままでよいのか研究班内において懸念が生じたため、現在、当該事案の行方を追うとともに、プレテストに向け再検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先に示した通り、都内病院における透析中止事案報道を受け、終末期の定義につき疑義が生じたことから、「終末期医療におけるデシジョンエイド」案及びプレテストの実施方法につき再検討する必要が生じた為。 今回の事案においては、医療者のイメージする「終末期」と一般市民のそれとの間に齟齬があることが問題の所在の一つに挙げられる。この「ずれ」があることがインフォームド・コンセントにおいては、「説明され、署名したが、納得はしていなかった」といった問題となり、場合によっては、紛争にいたっている。 それを超克するために生まれたシェアード・デシジョン・メイキングやアドバンスド・ケア・プランニングにおいても同様の問題は残っており、継続した対話を経た合意形成時においても、この「ずれ」には常に留意する必要があるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
透析中止事案に付き、日本透析医学会が調査報告書を作成しているとの報道がある。同報告書公表を待って、プレテストの実施方法に付き再検討し、実施していきたい。その後は順次、平成30年度計画の実施、31年計画の実施と進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要及び現在までの進捗状況に記載した通り、プレテストの実施が遅れているため。 今後の研究の推進方策に記載した通り、順次、実施していく予定である。研究費においても、原則として、当初の研究実施計画に従い、使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)