2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of diarrhea/enteritis caused by anticancer drugs and development of new treatment
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17K08950
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 雄一 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (10360083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満間 綾子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10467326)
前田 修 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (20378053)
水谷 武史 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60765519) [Withdrawn]
下方 智也 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70612745)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バクテリアルトランスロケーション / がん薬物療法 / 副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、抗がん薬による下痢・腸炎の発症とバクテリアルトランスロケーション(BT)との関連を探索的に比較検討する目的で、抗がん薬による下痢・腸炎を発症した患者またはそのリスクの高い患者を対象に、細菌ribosomal RNAを標的とした定量的逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応法(rRNA RT-PCR)を用いて血液中の細菌の検出頻度と菌種を明らかにし、下痢・腸炎をはじめとする臨床症状や重症度との関連、さらに抗がん薬の種類による特徴の有無を検討する研究である。 発熱性好中球減少症(FN)リスクが高いとされる患者を対象に、同じrRNA RT-PCRを用いて、担がん患者の化学療法前後における血中の細菌検出率を探索的に調べた。乳癌、膵癌、悪性リンパ腫、婦人科系がんなど39例(男性7例、女性32例)を対象とした。解析の結果、細菌検出は化学療法開始前に10例(25.6%)、開始後に11例(28.2%)で認められ、その割合は化学療法前後でほぼ同等であった。主な同定菌種はエスケリキア属、エンテロバクター属であり、化学療法前後で同定菌種は異なっていた。また、FNを発症した5例中3例(60%)、65歳以上の13例中6例(46%)で化学療法開始前後のいずれかで細菌が検出された。これらの結果から、がん患者は化学療法の実施に関わらずBTが発生しやすい状態にあり、FNや感染症の誘因となっている可能性が考えられた。 平成30年度後半より、免疫チェックポイント阻害薬による下痢・腸炎を発症した患者を対象に、同じrRNA RT-PCRを用いて血中の細菌検出頻度を検討する研究を開始した。しかし、症例集積が想定通りに進まず中断した。理由として、支持療法の改善により薬剤性の下痢の頻度が予想よりはるかに少なくなったこと、患者の大半が外来治療であるため下痢発症時に検体を採取することが困難であったことがあげられる。
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Research Products
(1 results)