2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症リスクの早期発見:事象関連電位P300潜時と脳機能ネットワークの研究
Project/Area Number |
17K09118
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
浅海 靖恵 大分大学, 福祉健康科学部, 客員研究員 (20530091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 喜一郎 久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (20140642)
兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 事象関連電位 / P300 / DMN / LORETA |
Outline of Annual Research Achievements |
①2019年4~10月において、久留米大学の近隣市町村と地域包括支援センター等の協力のもと「もの忘れ予防検診」を実施し、認知症の疑いがある参加者およびリスクが高い(前認知症)と考えられる参加者については久留米大学の物忘れ外来受診を促した。②物忘れ予防検診参加者・物忘れ外来受診者を対象に久留米大学高次脳疾患研究所にて安静脳波と視覚誘発事象関連電位P300を測定した。③健常者データとの比較が必要であったため、物忘れ検診参加者のスクーリング検査で健康と判断された方に検査協力を追加依頼し、計画通り、健常群・中間群・認知症群(各18名)の安静時脳波と視覚誘発事象関連電位P300を測定した。 ④1)P300成分(潜時・振幅)の解析と2)eLORETAを用いたdefault mode network(DMN)を中心とした大域ネットワークの機能的結合性の解析をした。⑤④-2)について、日本認知症学会で下記のとおり成果発表した。 中間群と健常群の比較では、α2帯域において中間群が健常群に比べ有意に活動性が低下し、その領域はブロードマンエリア23・31野であった。最も活動値に差があったブロードマエリア31野の値を用い、中間群と健常群を鑑別するカットオフ値をROC曲線より設定した。ROC曲線のAUCは0.728と高い予測能があることが示され、カットオフ値は0.00143、この時の感度は0.778、特異度は0.667であった。以上より、安静時DMNの皮質活動量は、認知症リスクの早期発見に有用な精神生理学的指標となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に予定していた学会がCOVID-19で順延となり、成果発表を次年度に持ち越さざるを得ない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
中間群と健常群の視覚誘発事象関連電位P300成分を比較することで、P300成分の認知症リスク早期発見の指標としての有用性について検証し、日本認知症予防学会にて発表する。
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Causes of Carryover |
学会発表にかかる予算を計上していたが、COVID-19の影響で学会順延となりその機会がなくなったため。 次年度、論文投稿に向けての研究相談や学会発表のための旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)