2018 Fiscal Year Research-status Report
耳ピアス孔が要因となる新しい医療関連感染経路と鼻腔内黄色ブドウ球菌との関連
Project/Area Number |
17K09133
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
金山 明子 東邦大学, 看護学部, 講師 (90536195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寅吉 東邦大学, 看護学部, 教授 (10533028)
金坂 伊須萌 東邦大学, 看護学部, 助教 (50758183)
金子 明寛 東海大学, 医学部, 教授 (30185920)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 細菌 / 耳ピアス孔 / 鼻腔 / 医療関連感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では医療従事者の耳ピアス孔、手指、鼻腔の3部位における黄色ブドウ球菌の保菌頻度および継続的保菌例(定着例)について調査し、3部位間の伝播経路を証明する。 ヒト鼻腔に保菌される黄色ブドウ球菌は、手指、耳ピアス孔の部位で伝播され、手指への同菌の伝播は鼻腔および耳ピアス孔の黄色ブドウ球菌定着例において高いことが先行研究において確認されたことから、高頻度に医療環境への手指を介した伝播が生じ,医療関連感染(Health-care associated infection)の一要因となる可能性がある。医療環境に長時間勤務する医療従事者は、一般の健常人に比べMRSAなどの抗菌薬耐性黄色ブドウ球菌の保菌例が多い可能性がある。 本研究では、医療従事者および一般健常人(大学生)の2グループを対象として、黄色ブドウ球菌の保菌、定着状況、伝播経路を比較し、医療従事者における特徴を見出すこととする。平成30年度までの実績において、医療従事者は一般健常人に比べ黄色ブドウ球菌の頻度は低いものの、MRSAの頻度は高く、医療環境における抗菌薬耐性菌の選択が反映されているものと考えられた。次年度に継続的に試料採取を行い、継続的保菌例についての解析を実施する。 医療従事者の耳ピアス孔、手指、鼻腔の3部位におけるMRSAを含む黄色ブドウ球菌の定着状況を調査することにより3部位間の伝播経路を証明し、耳ピアス孔が医療関連感染の要因であることを提言する。さらに耳ピアス孔と鼻腔に定着する黄色ブドウ球菌の関連を根拠として示し、医療関連感染対策のガイドラインにおいて、耳ピアス孔が鼻腔と同様な位置づけとして認識されるよう働きかける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、協力医療機関の倫理審査終了後、医療従事者より試料採取(1回目)を行い、検出されたMRSAを含む黄色ブドウ球菌の細菌学的解析を行った。その結果、鼻腔、耳ピアス孔、手指から検出された黄色ブドウ球菌は同一クローンである例が多く、当初の予測通り3部位間で菌の伝播が生じていた。 比較対照として、大学生より試料を採取し、同様に黄色ブドウ球菌に対して解析を行った。 各採取部位における黄色ブドウ球菌の検出頻度は、医療従事者に比べ大学生が高く、抗菌薬耐性菌のMRSAは医療従事者において高かった。 平成30年度中に、2回目の試料採取を予定していたが、協力医療機関の事情により、一部の例のみの採取に止まった。次年度に継続し採取を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
協力医療機関、および大学生において2回目、3回目の試料採取を行い、実施済みの1回目の検出状況の比較、および菌株の同一性を解析する。 また、新規医療機関に協力を求め了承を得られたため、倫理審査等の手続きが終了後、同様に試料採取および解析を進める。
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Causes of Carryover |
平成30年度に予定していた試料の一部のみの採取をしたため、試料採取、細菌学的解析に使用する費用を次年度に繰り越した。
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