2017 Fiscal Year Research-status Report
地域医療における精神医療ニーズの明確化と効果的な介入手段の探索
Project/Area Number |
17K09211
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
須田 史朗 自治医科大学, 医学部, 教授 (40432207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40398516)
安田 学 自治医科大学, 医学部, 講師 (40468343)
齋藤 慎之介 自治医科大学, 医学部, 講師 (40726288)
北田 志郎 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (50713856)
加藤 梨佳 自治医科大学, 医学部, 助教 (50759941)
小林 聡幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (70296101)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精神医療ニーズ / 地域医療 / うつ病 / 認知症 / プライマリ・ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省の患者調査ではわが国のうつ病の患者数は110万人を超えている。しかし、有病率を考慮するとわが国の実際のうつ病患者数は300万人以上であることが想定され、まだまだ多くの患者が医療機関を受診していないか、専門的な治療を受けていないという実態がある。また、高齢化社会に伴う認知症患者の急増も大きな問題となっており、わが国はプライマリ・ケア医との連携がなければ精神医療が成り立たなくなる時代を迎えようとしている。しかしわが国はプライマリ・ケア医に対する精神科研修体制の不備や精神科専門医療機関との連携体制の不十分さ、睡眠薬・抗不安薬の乱用の問題があることが指摘されており、有効な対策の提言が求められている。 本研究ではプライマリ・ケア医を対象として特定二次医療圏での網羅的なデータ収集および自治医科大学卒業生の地域医療ネットワークを生かした全国的調査を展開し、地域医療における精神医療ニーズの明確化と効果的な介入手段の探索を進める。栃木県県南医療圏においてプライマリ・ケアに従事する医療機関、全国でプライマリ・ケアに従事する自治医科大学卒業生に対してアンケート調査を行い、精神症状を有する患者の通院数、調査対象患者の診断・年齢・性別・身体合併症の有無・精神科医療機関通院の有無・睡眠薬や抗不安薬、その他の向精神薬の処方の有無、精神科医療機関との連携の状況、精神科医療機関との連携に関連したトラブルの発生件数、精神科研修の経験・希望の有無、精神医療のスキルについての自己評価に関する情報を得る。データの解析を通じて地域医療における精神医療ニーズを明確化し、続いて診療所間、あるいは地域間の精神医療ニーズの格差に関連する背景因子を抽出する。 本研究により、精神疾患患者の受診行動の動向、わが国の地域医療および精神医療の抱える問題点が明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プライマリ・ケア医を対象としたアンケート調査用紙を作成し、栃木県県南医療圏での網羅的なデータ収集およびプライマリ・ケアに従事する自治医科大学卒業生を対象とした全国的調査の準備を開始した。研究の開始にあたり、自治医科大学地域医療センター、卒後研修センターとの連携を強化し、栃木県県南医療圏のプライマリ・ケア医、自治医科大学卒業生それぞれを対象とした研究説明会を行った。本研究では特に栃木県県南医療圏での網羅的なデータ収集を目指しており、そのためには高いアンケート回収率を維持することが欠かせない。まずはパイロット・スタディとして自治医科大学卒業生に対するアンケート調査を開始しているが、想定した回答数に達しない可能性が浮上しつつあり、堅実な研究体制の確立を必要としている。この問題点を解決する目的で、自治医科大学地域医療センター、卒後研修センターとのさらなる連携の強化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、アンケートによる栃木県県南医療圏での網羅的なデータ収集およびプライマリ・ケアに従事する自治医科大学卒業生を対象とした全国的調査を展開する。すべてのデータを匿名化、データベース化した後、各種評価から得られた質的データ、量的データを整理し、統計解析を行う。記述統計として、精神疾患患者の受診行動の動向、プライマリ・ケア医による精神医療の実態(精神症状を有する患者の通院数、睡眠薬や抗不安薬、向精神薬の処方件数、精神医療に対する関心度)を明らかにし、地域医療における精神医療ニーズを明確化する。続いて診療所間、あるいは地域間の精神医療ニーズの格差に関連する背景因子を抽出する。また、診療所の担当する精神疾患を有する患者数をmain outcomeとし、影響を与える因子を重回帰分析により検討する。以上を通じて、わが国の地域医療および精神医療の抱える問題点を明らかにする。 本研究により得られた成果を日本プライマリ・ケア連合学会、日本精神神経学会、日本社会精神医学会で発表し、英文専門誌、和文専門誌に投稿する。地域医療における精神医療ニーズを明確化し、効果的な介入手段を探求するとともに、地域精神医療の質的向上を目指した提言を行う。
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Causes of Carryover |
アンケート調査の回答数が伸び悩んでおり、それに関連した謝金の支払いが予定額に達していないこと、また研究説明会開催に係る旅費が想定より小額であったことから次年度使用額が生じている。 翌年度は研究体制の更なる強化を行い、精力的にデータ収集を行っていく。
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Research Products
(1 results)