2018 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチをモデルとした専門性が高い疾患領域の地域連携体制構築に向けた検討
Project/Area Number |
17K09228
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森脇 睦子 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科 東京都地域医療政策学講座, 特任准教授 (40437570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913)
堀口 裕正 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), 診療情報分析部, 副部長 (50401104)
今井 志乃ぶ 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), 診療情報分析部, 主任研究員 (50608750)
鳥羽 三佳代 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, プロジェクト講師 (60463923)
笠井 祥子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60752904) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 外来分析 / DPCデータ / 機能分化 / 慢性関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では、病院は入院医療に特化し、外来医療は診療所で行うべく病院の機能分化および集約化が促進されている。しかし、医療資源の投入量が少ない患者や状態が安定していると考えられる患者の大病院受診は多い現状がある。一方で、状態が安定した患者(以下、状態安定患者)であっても比較的専門性の高い診療を必要とする場合、地域における受け入れ先が十分確保されているかという点は明らかではい。本研究では、外来診療を中心とする疾患である関節リウマチ(RA)患者に焦点をあて①大病院への受診パターンを明らかにし、②状態安定患者の大病院受診と地域医療提供体制(専門医の供給など)の関連を明らかにすることを目的とした。 初年度から2年度では、研究目的を遂行するために、(1)処方薬剤により関節リウマチ患者の特定手法の開発、及び(2)状態が安定した関節リウマチ患者の同定手法の開発を行った。 外来のDPCデータや外来レセプトデータによる医療の実態把握に関する研究が進んでおり、また、データ量は桁外れに大きいことから得られる知見に一定の期待がある。しかし、外来のDPCデータには病名情報がなく、またレセプトデータには主病名が入力されているが、保険病名であり、病名入力精度は実態を反映しているとは限らない。また、レセプトに示される病名が治療中の疾患かどうかは病名からでは不明である。このようなデータ上の限界があることから、処方薬剤や検査等の診療行為により疾患の特定を試みた。初年度より、(1)処方薬剤により関節リウマチ患者の特定及び(2)状態が安定した関節リウマチ患者の同定の凡その結論を導き出せたが、共同研究者との協議の上、両患者集団の抽出精度の改善が必要であるとの判断から、再度両患者集団の特定手法の開発を行った。 疾患に限りはあるが、患者抽出手法が確立できれば、外来のDPC・レセプトデータの活用が拡大する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
処方薬剤により関節リウマチ(RA)患者の特定手法の開発、及び状態が安定した関節リウマチ患者の同定手法の開発の分析を行った。初年度に抽出ロジックを検討したが、共同研究者との協議の上、ロジックの精度向上が必要であると判断し、更なる開発・妥当性検証を行った。続いて、大病院外来に受診する安定患者の実態及びその要因の検討のための地域変数の検討を進めている。 【分析期間及び対象】2016年4月1日~同年6月30日にT大学病院を受診し、RA治療に使われる薬剤が投与された患者52,554人を対象とした。 【患者抽出法の開発方法】①リウマチ治療に特異的に使用される薬剤(以下RA薬剤)及び特定の検査の実施状況により、RA患者の特定方法を検討した(検出法1~6)。②地域医療にシフトの可能性が高い患者の特定方法を検討した(検出法7)。③つの検出法を考案し、カルテ調査と機械的抽出ロジックについて、感度、特異度、陽性的中度、陰性的中度を算出した。④地域シフト可能な患者の特定方法を検討した。 【結果と考察】研究目的に鑑み、RA患者抽出には、検出法4(感度61.5%、特異度99.8%、陽性的中度98.7%、陰性的中度90.6%、)しくは検出法5(57.5%、99.8%、92.5%、98.6%)が望ましいと考えられた。続いて、安定患者の抽出には検出法7を考案した。精度は、感度95.2%、特異度11.7%、陽性的中度75.0%、陰性的中度46.8%であった。感度及び陽性的中度の値が比較的高いことから、この患者群をRA安定患者とし、地域シフト可能な集団にできると考え、現在、地域分析のデータ抽出法を検討中である。 【まとめ】初年度のRA安定患者の抽出ロジックについては、精度の改善が必要であるとの観点から試行錯誤したため多少時間を要した。最終年度では、地域分析に向けて進めている。概ね計画通り研究を遂行できていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
全国急性期医療機関(DPC病院)の外来EFファイルを活用し、初年度に行ったRA安定患者抽出ロジックにより、対象患者を抽出する。地域にシフト可能な患者を大規模病院が継続的に診療している影響要因を、地域医療提供体制等を基に分析する。各影響要因については、専門医の地域分布状況、病院数、診療所数、推計患者数、病院機能変数(効率性・複雑性・カバー率)等を想定している。現在のところ、専門医の地域分布に関するデータベースはHPに公表されている情報から作成した。その他については、DPCデータ及び公開されている二次データを使って探索的に行う予定である。最終的には、大病院における継続的に受診している安定患者率の違いに影響を与えている要因を地域医療提供体制の視点で明らかにしていく。
|
Causes of Carryover |
以下の理由により、次年度の繰り越しが発生した。研究機関を通じて実施する内容(予算上の項目)に変更はないため、研究計画に従って進めていく。 ・初年度の結果については、対象患者抽出ロジックの精度向上が必要であるとの判断から、再分析を行った。 ・当初の予定では、患者抽出ロジック部分についての結果の取りまとめを学会発表する予定であったが、再検討により時間を要したため、地域分析と併せた結果をもって、学会発表及び論文投稿を進める予定である。
|