2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢患者むけ自記式調査票のユニバーサルデザイン化を実現するための研究
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17K09290
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨田 尚希 東北大学, 大学病院, 助教 (00552796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 隆裕 横浜市立大学, データサイエンス学部, 教授 (00270413)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Aging-friendly design / Arrow design / Visuaol analogue scale |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、CGAを効率的に実践するための評価方法の組み合わせ案を提示すること、年齢や認知機能が変化しても回答しやすさが保たれる”Aging-friendly”な問診票を作成すること、そして問診票の回答しやすさ(readability, usability, reluctance)を検討するための方法論の提唱を目指すものである。これらの目的を達成するために、(1) 調査票デザイン上の問題点の検討、(2) 実際に用いられているCGAアセスメントツールの回答しやすさの測定・比較・検討を、紙ベース・モニター表示のそれぞれで行う予定としている。 平成30年度までに、「(1)調査票デザイン上の問題点の検討」に取り組んできた。紙ベースの問診票デザインについては、回答者の背景や回答結果に応じて視線を誘導する「矢印」のデザインがAging-friendly designとして重要なポイントになると考え、平成29年度にパイロット調査を実施、平成30年度にその結果の検討と調査を進めている。またモニター表示の問診票デザインについては、回答方法のデザインに関する検討がバリアフリー化に向けた重要なポイントとなると見定め、平成30年度に具体的な計画と準備作業を進めてきた。先行研究の検討を行い、「視覚アナログ尺度Visual analogue scale (VAS) 回答」に関する研究を中心に回答デザインに関する検討をすべきであると結論した。老年学の分野では、年齢によってVASへの理解度に違いがあり、年齢に対応した修正が必要なことが指摘されている。形容詞的尺度やFace scaleとの組合せ、線の方向など回答しやすさの向上につながるデザイン案は複数挙がり、それらを用いた具体的な調査計画の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度に紙ベースの自記式調査票(問診票)におけるデザイン要素のひとつである「矢印」を用いた視線誘導の注意点を探るためのパイロット調査を計画・実行し昨年度の進捗状況で報告した。平成30年度には、この調査内容についての学会発表用資料を作成しAmerican Geriatric Society2019 annual scientific meetingのposter presentationの演題としてapplyした。しかしこの学会での採択に至らなかったため、問題点について検討した上で、IAGG Asia/Oceania 2019に改めてapplyしている。このパイロット調査の結果については、論文化に向けた作業を行っているが、同時に平成31年度に行う追加作業についての検討もしており、これらパイロット調査のまとめ作業に予想以上の時間が必要となり計画遂行の遅延につながっている。 モニターベースのデザイン要素として「回答方法のデザイン」、特に「視覚アナログ尺度Visual analogue scale (VAS) 回答」に関する先行研究の検討とをすすめてきた。形容詞的尺度やFace scaleとの組合せを用いた具体的な調査計画の検討を行った。この準備作業に時間が予想以上にかかっている。これは、紙ベースの問診票とは異なり、自分だけで研究用の問診票を作成できず、調査用の問診アプリケーションの開発を研究費におさまるよう外注する必要がある。適切な外注先の選定に手間取り、計画遅延の最大の原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で遂行する予定の検討は、(1) 調査票デザイン上の問題点の検討、(2) 実際に用いられているCGAアセスメントツールの回答しやすさの測定・比較・検討、の2つの大きな項目にまとめられる。(1)については、平成29年度、平成30年度とパイロット調査と先行研究のまとめをすすめてきた。昨年度までの検討結果から今年度、紙ベース・モニターベースの問診票デザインについての本試験の計画を確定し遂行する予定である。(2)については、検討の遅延により昨年度までに取り組みを開始できなかった。このため、(1)の検討と並行して(2)で検討する対象となるアセスメントセットを夏までに定め、下半期以前に実際の調査の開始を目指す。
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