2018 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍領域に高発現する亜鉛トランスポーターの役割解明と治療標的としての可能性の探求
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17K09373
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大橋 若奈 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (50381596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 裕一 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (50156361)
井村 穣二 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (80316554)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 亜鉛トランスポーター / 腸上皮細胞 / 大腸がん / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、腫瘍病態において病理的役割を果たしている亜鉛トランスポーターの探索とその作用機構の解明を目的としている。生体にとって亜鉛は必須微量元素であり、鉄に次いで二番目に多く含まれている。亜鉛の欠乏や体内分布のバランスの破綻は、種々の疾患を結びついている。 亜鉛トランスポーターは亜鉛の生体内恒常性の維持を担うと共に亜鉛の輸送を介して種々の細胞機能の制御に関わる。細胞内小器官から細胞質へ亜鉛を輸送する亜鉛トランスポーターZIP7が腸上皮恒常性の維持に必須であり、そのメカニズムの一つとして小胞体ストレスの解消を介しての腸上皮幹細胞の維持と前駆細胞の増殖を担っていることを見出していた。 本年度は、ZIP7を過剰する大腸がん発現株の樹立を行なった。ヒトZIP7遺伝子を組み込んだレンチウイルスを作製し、HCT116株、HT29株、SW480株の大腸がん細胞株へこれらのウイルスを感染させた後、ブラスチサイジンによる薬剤処理により薬剤耐性株を得た。ウエスタンブロットによる解析からこれらの薬剤耐性株はZIP7の発現が亢進していることを確認した。これらのZIP7発現亢進細胞を用いて、がん細胞性へのZIP7発現亢進の影響について検討を行い、ZIP7の発現の変動により影響を受けるがん細胞性質の特徴化を進めている。加えて、亜鉛トランスポーターの発現変動によるがん細胞機能変化の分子機構を明らかとするため、現在、RNA-seqを用いた遺伝子発現解析を行なっており、次年度へ継続して解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛トランスポーター過剰発現株の樹立が完了した。これを用いたがん細胞機能解析を実施し、亜鉛トランスポーターの発現の変動が影響を及ぼすがん細胞機能の特徴化を行なっており、更に、この作用機構の解明に向けての解析に着手しており、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ZIP7のがん細胞機能への寄与における詳細な作用機構を分子レベルでの解析を進め、ヒト臨床例と用いての解析を計画している。
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Causes of Carryover |
RNA-seq解析費用とRNA-seq解析結果を受けての検証費を予定していたが、予定より解析費用が低かったことと、複数の細胞種についての解析と検証の順番に少しの変更を行なったことにより、検証にかかる実験費用の支出が次年度になったため次年度使用額が生じた。
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