2017 Fiscal Year Research-status Report
腸管マクロファージの腸内細菌非依存的IL-10産生機構の解明
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17K09393
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
竹内 修 北里大学, 北里研究所病院, 部長補佐(研究) (00249997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 拓 北里大学, 北里研究所病院, 副センター長 (10424144)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / NLRP3 / 腸管マクロファージ / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管は腸内細菌叢と宿主側の免疫担当細胞が相互作用をしている特殊な環境で、腸管マクロファージ(Mφ)は外来抗原に対する防御機構の中心的役割を果たすと共に、抗炎症サイトカインであるIL-10を恒常的に発現することが知られている。 我々はこれまで、腸管MφからのIL-10産生能が、SPF環境下と同様に無菌(GF)マウスでも維持されており、腸内細菌非依存性であること、さらにはToll様受容体のアダプター分子MyD88の欠損マウスではそのIL-10の産生が消失していることを明らかにしてきた。 本年度の研究では、腸内細菌非依存的かつMyD88依存的な経路を見いだすため、炎症反応の誘導に関与する経路として近年注目されているNLRP3インフラマソーム経路に着目し、腸管マクロファージが腸内細菌などの外的要因と接しながらも寛容を保つメカニズム、すなわち腸管マクロファージが産生するIL-10発現機構を明らかにする。 Toll like receptor (TLR)や細胞質内受容体であるNOD-like receptor (NLR)は、ともに自然免疫を誘導する重要なセンサーである。IL-10を恒常的に産生する腸管マクロファージにどの様な関わりを持つかを種々の分子についてノックダウンを行い、腸管マクロファージからのIL-10産生機序とその経路について解析を行った。 その結果、腸管マクロファージにおけるIL-10発現にはNLRP3が関与し、インフラマソームの活性化とは別に、MyD88依存的なIL-1受容体刺激伝達経路を介してNALP分子やIL-10の発現に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予想していたインフラマソーム経路の活性化が腸管マクロファージから産生されるIL-10の発現に重要だと考えていたが、NLRP3が関与する別の経路によってIL-10の発現が調節されている可能性が示唆されたため、これらを証明するための実験系を新たに立ち上げて解析を行っている。 また、予定していた腸炎モデルマウスをもちいた動物実験も当初の目標を達成できていない理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は解明途中であるIL-10産生機序において、NLRP3が果たす役割をChip assayやpromoter assayを中心に解明して行く予定である。 また、腸管マクロファージからのIL-10産生機序に関与する機序が同定された場合、実際の炎症性腸疾患の患者における分子の役割を確認するため、当院IBDセンターの研究分担者に協力を得て、IBD患者手術適応症例を対象にしてヒト腸管マクロファージにおける炎症部・非炎症部の比較を行い、炎症性腸疾患患者の炎症部位と正常部位の腸管マクロファージ中の同定された経路に関与する分子についてその発現状態の強弱を観察し、実際の病態と相関を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進展状況に変わりは無く、物品費の節約を行ったため次年度に繰り越した。金額は少量であるが、前年度と同様に実験の試薬や消耗品に使用予定である。
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