2018 Fiscal Year Research-status Report
循環器疾患における時計遺伝子Clif/Bmal2の役割の解明
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17K09592
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
前村 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90282649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10336159)
砂河 孝行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (40418637)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 循環器疾患 / 時計遺伝子 / 概日時計 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
体内時計の分子機序が明らかになり、その構成因子である時計遺伝子を変異させた動物の解析により、代謝疾患、免疫疾患、循環器疾患などの発症、進展に体内時計の乱れが重要な働きを担っていることが明らかになっている。本研究は、我々が血管内皮細胞から同定した時計遺伝子であるArntl2/Clif/Bmal2のノックアウトマウスを作成し、その循環器疾患における役割を明らかにすることで、循環器疾患の発症、増悪する機序を、サーカディアンリズムの撹乱、体内時計の変調の観点で解析することを目的とする。 まずCRISPR-Cas9システムを用いてArntl2/Clif/Bmal2遺伝子のノックアウトマウスの作成を行った。その結果、Exon3に1塩基のインサーション、2塩基の欠失、及び44塩基インサーションされた3系統のマウスを得ることができた。すべてDNA結合にとって重要なドメインであるbHLH(basic Helix Loop Helix)ドメインの途中でストップコードンが出現しArntl2/Clif/Bmal2の機能は欠失していると考えられる。 これら変異をもつホモ接合体は正常に生まれて来て、組織学的検査では特に問題となる所見は認められなかった。行動のサーカディアンリズムに及ぼす影響を確認するため、Light/Dark10日間-Dark/Dark16日間-6時間のLightPulse-Dark/Drak14日間の条件下で輪回し運動による行動測定を行った。その結果、野生型とノックアウトマウスでphase shiftに有意差は認めなかった。現在、体重増加や糖代謝への影響を検証するとともに、さまざまな循環器疾患モデルを作成した時に異常が無いかを検証しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においてノックアウトマウスの作成の可否が最も重要な段階であったが、CRISPR-Cas9システムを用いて、3系統のノックアウトマウスを作成することに成功した。また輪回しによる行動解析により、行動のサーカディアンリズムには影響しないことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたノックアウトマウスを用いて以下の解析を行う。 1)Clif/Bmal2ノックアウトマウスにHigh fat dietを投与して体重増加、糖脂質プロファイルを野生型マウスと比較する。 2)Clif/Bmal2ノックアウトマウスの心臓、大動脈、肺で網羅的遺伝子発現解析を行い、野生型と比較することにより、Clif/Bmal2の標的遺伝子を明らかにする。 3)ノックアウトマウスに、低酸素環境下における肺高血圧、胸部大動脈縮窄による左室肥大、ApoEノックアウトマウスとの交配による動脈硬化モデルを作成し、これらの病態発症におけるClif/Bmal2遺伝子の役割を検討する。 4)Clif/Bmal2遺伝子ノックアウトマウスホモ接合体から線維芽細胞を採取し、cell line化した後に低酸素刺激を行い、低酸素応答における時計遺伝子と転写因子HIF(Hypoxia inducible factor)シグナルのクロストークを検討する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Effectiveness and safety of oral direct factor Xa inhibitors for the treatment of venous thromboembolism in patients with cancer and/or older age2019
Author(s)
Sato D, Ikeda S, Koga S, Yamagata Y, Eguchi M, Yonekura T, Tsuneto A, Yoshimuta T, Koide Y, Kawano H, Maemura K
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Journal Title
Heart Vessels
Volume: 34
Pages: 678-687
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Prediction of organ involvement in systemic sclerosis by serum biomarkers and peripheral endothelial function2018
Author(s)
Kawashiri SY, Nishino A, Igawa T, Takatani A, Shimizu T, Umeda M, Fukui S, Okada A, Suzuki T, Koga T, Iwamoto N, Ichinose K, Tamai M, Nakashima M, Mizokami A, Matsuoka N, Migita K, Ogawa F, Ikeda S, Maemura K, Nakamura H, Origuchi T, Maeda T, Kawakami A.
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Journal Title
Clin Exp Rheumatol.
Volume: 113
Pages: 102-108
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Oxidative stress-responsive apoptosis inducing protein (ORAIP), a new oxidative stress marker, is associated with pulmonary hemodynamics in chronic thromboembolic pulmonary hypertension2018
Author(s)
Yuki Yamagata, Satoshi Ikeda, Tomoo Nakata, Tsuyoshi Yonekura, Masamichi Eguchi, Seiji Koga, Takahiro Muroya, Yuji Koide, Hiroaki Kawano, Takako Yao, Yoshinori Seko, Koji Maemura
Organizer
ESC congress 2018
Int'l Joint Research
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