2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K09603
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 透 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50282356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜澤 伸之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00301896)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 喘息 / ゲノムワイド関連解析 / 一塩基多型 / 遺伝的リスクスコア |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに喘息発症に対するゲノムワイド関連解析(GWAS)によって、P<5.0E-8を満たす遺伝子が126個報告されている。最近、Demenaisらは既報告の喘息GWASをメタ解析し(喘息23,943名、健常者118,538名)、55遺伝子においてゲノムワイド有意水準を満たす一塩基多型(SNP)を報告している(Nat Genet. 2018)。 そこで我々は、これら55遺伝子±100 kb領域において、筑波喘息GWAS(喘息244名、健常者967名)でP<0.05を満たすSNPの存在を検索した。その結果、35遺伝子において有意なSNPが確認された。近傍に存在するSNPについては、お互いのSNPにより補正をかけた後にP≧0.05となるものは除外した。最終的に23個の遺伝子(IL1RL2、TSLP、RAD50、SLC22A5、NDFIP1、BTNL2、MICA、BACH2、GJA10、MAP3K7、ZBTB10、RANBP6、GATA3、CELF2、EMSY、LRRC32、RORA、VPS13C、SMAD3、SMAD6、DEXI、SOCS1、ZNF652)において23SNPが抽出された。次にこれら23SNPについて、喘息発症のリスクアレルと、オッズ比(OR)を抽出した。各SNPについての喘息発症遺伝的リスクスコアは、リスクアレルが0、1、2個の場合には、それぞれ1、OR値、OR値の2乗として計算した。各個人について23SNPの喘息発症遺伝的リスクスコアを求め、さらにこれらをすべて合算して個人の喘息発症トータル遺伝的リスクスコアとした。筑波GWASコホートにおいて、喘息群と健常者群の喘息発症トータル遺伝的リスクスコアをt-検定により比較したところ、喘息群32.2±1.4(平均±SD)、健常者群31.0±1.4となり、有意に喘息群の方が高い値を示した(P=3.18E-30)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画調書では、平成29年度は既報告の喘息GWASからゲノムワイド水準を満たす遺伝子を抽出し、その遺伝子領域において筑波喘息GWASでp<0.05を満たすSNPを抽出すること。次にそれらのSNPから喘息発症トータル遺伝的リスクスコアを計算し、喘息群と健常者群の値を統計的に比較すること。さらにSNPの組合わせを変えて喘息発症トータル遺伝的リスクスコアを計算し、ROC曲線から最も喘息発症の診断能が良いSNPの組合わせを検定することであった。 喘息発症の診断能が高いSNPの組合わせの検討はできていないが、それ以外は年度内に実施できており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに世界中で行われた喘息発症に対するGWASによって、ゲノムワイド水準を満たす喘息関連遺伝子が122遺伝子報告されている。このうち、55遺伝子領域については筑波喘息GWASの結果を用いて、喘息発症トータル遺伝的リスクスコアを計算し統計解析を終了した。本年度は残りの遺伝子領域について、筑波喘息GWASの結果から喘息発症遺伝的リスクスコアを計算する。さらに、SNPの組合わせを変えて、最も喘息発症の診断能が良いSNPの組合わせを検定する。 次に、独立した再現研究コホート1(喘息334名、健常者397名)と再現研究コホート2(喘息565名、健常者998名)の全対象者について、選択されたSNPの遺伝子型を決定する。その結果から個人の喘息発症トータル遺伝的リスクスコアを計算し、喘息群を健常者群の間での有意差が再現されるかを検証する。 さらに、喘息発症トータル遺伝的リスクスコアと種々の喘息フェノタイプや、アトピー素因、総IgE値、低肺機能などの喘息関連表現型・危険因子などとの関連を解析する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Genetic association of the functional CDHR3 genotype with early-onset adult asthma in Japanese populations.2017
Author(s)
Kanazawa J, Masuko H, Yatagai Y, Sakamoto T, Yamada H, Kaneko Y, Kitazawa H, Iijima H, Naito T, Saito T, Noguchi E, Konno S, Nishimura M, Hirota T, Tamari M, Hizawa N.
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Journal Title
Allergol Int
Volume: 66
Pages: 563~567
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Role of the CDHR3 Variant (Cys529→Tyr) in Early-Onset Adult Asthma in Japanese Populations.2017
Author(s)
Kanazawa J, Masuko H, Kitazawa H, Yamada Y, Yatagai Y, Kaneko Y, Iijima H, Naito T, Saito T, Noguchi E, Konno S, Nishimura M, Hirota T, Tamari M, Sakamoto T, Hizawa N.
Organizer
American Thoracic Society Conference 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] IL-17F Induces IL-6 Via TAK1-NFbkB Pathway in Airway Smooth Muscle Cells.2017
Author(s)
Nakajima M, Kawaguchi M, Ota K, Fujita J, Matsukura S, Huang SK, Masuko H, Kiwamoto T, Matsuno Y, Morishima Y, Ishii Y, Satoh H, Sakamoto T, Hizawa N.
Organizer
American Thoracic Society Conference 2017
Int'l Joint Research
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