2018 Fiscal Year Research-status Report
「オンタイム法」による分子標的薬剤の耐性予測と耐性機序の解明へのアプローチ
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17K09641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石沢 興太 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (60400313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40249983)
三森 隆広 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (40760161)
桜田 晃 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (60360872)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺がん / 胸水 / 薬剤耐性 / TKI |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に肺がんサンプル検体をできるだけ収集した。大学病院の症例と関連病院の研究協力を得ながら計20の検体を収集することが出来た。東北大学にはバイオバンクが昨年度立ち上げており、今後、検体の一元的な管理ができる観点から、集めたサンプルをバイオバンクに委託保管する予定である。 昨年度に収集したすべての検体の細胞表面抗原のフローサイトメトリー(FACS)解析を行なった。正常細胞とがん細胞をはっきりと分離する方法を前年度に確立したが、さらにがん細胞中に多様性の存在を示唆する実験結果から、すべての腫瘍検体を使い、同様の解析を行った。興味深い事に癌細胞の表面マーカーは個人間に発現の多寡があるものの、ほぼすべてのがん細胞に発現する表面マーカーの組み合わせを見つけることができた。この事によりがん細胞をサブグループに分けることができるようになった。 FACS解析の結果を確認するために、EGFRを分子マーカーに用いて、遺伝子変異を有する検体を検索した。その結果、合計5検体から変異を有するがん細胞を特定することができ、さらにEGFRを目印にFACSでソートした各サブグループから同一のEGFR変異を確認できた。これはがん細胞の表面マーカーとジェネティックマーカーを組み合わせることでがん細胞の多様性を証明したものと考えている。 以上の結果より、がん細胞中に新規の細胞集団が存在することを細胞表面マーカーとEGFR変異を用いて証明することができた。この新規の細胞集団が担癌患者の治療効果と予後に影響を及ぼす可能性がある。肺がん治療に対し薬剤耐性が常につきまとう課題である。今回判明したがん細胞の多様性が抗がん剤の耐性にどう影響を及ぼすのかを観察する予定である。また、新たな治療ターゲットを探索する目的に今後、集めた検体を用いて、シングル細胞RNAシークェンスを行い、詳しい解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進行している。初年度は大学一施設のみで症例を集めていたが、サンプルを集めるのに若干時間がかかった。途中より倫理委員会を通しもう一協力施設を増やした事で解析できる目標症例を集めることができた。その後解析は概ね順調に進んでいると考えている。3年目はhigh throughput screenを念頭に患者の経過フォローを含めて研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように肺がん細胞の細胞集団の中に多様性が存在することが証明できたところまで進んだので、今後はそれぞれのがん細胞の生物学的特徴を同定して行きたいと考えている。具体的にはそれぞれの細胞集団のバルクRNAをシークエンス解析して、発現している遺伝子を解析し、余力があればシングル細胞RNA (scRNA) 解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度はサンプルのRNAシークエンスを施行する予定であったが、予定よりサンプルの調整に計画より遅れが生じた。 その分の予算が施行されずに次年度へ繰り越すことになった。
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[Presentation] S100A10 Upregulation Associates with Poor Prognosis in Lung Squamous Cell Carcinoma.2019
Author(s)
Yuriko Saiki, Kimiaki Sato, Kazumori Arai, Kota Ishizawa, Shinichi Fukushige, Kenko Aoki, Jiro Abe, Satomi Takahashi, Ikuro Sato, Akira Sakurada, Yoshinori Okada, Akira Horii.
Organizer
AACR-JCA Joint conference,
Int'l Joint Research
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