2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of animal models, identification of the mechanisms, and experimental therapeutics for augmented blood pressure variability
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17K09729
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血圧変動性 / ノルアドレナリン / アンジオテンシンII / 心血管疾患 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
血圧変動性の増大は、心血管疾患の危険因子であり、心不全や腎不全の増悪因子である可能性や認知症等との関連も指摘されている。しかし、変動性増大の機序や病態生理の理解が不十分であり治療手段が明確でない。本研究の目的は、血圧変動性増大に関して、モデル動物を開発して、機序と病態生理の解析および治療介入手段の検索へ展開することである。テレメトリーシステムを用いてラット大動脈の圧波形をモニターし、24時間の血圧変動を15分毎の血圧値の変動係数を用いて評価した。まず、新たな血圧変動性増大モデルの作成を目的に、種々の内因性または外因性因子の投与(暴露)を試みた。その結果、内因性生理活性物質ノルアドレナリン(NA)の持続皮下注により、血圧変動性が増大することを見出し、同ラットが新規モデルとして有用であることが判明した。一方、我々は、アンジオテンシンII(Ang II)持続投与により、血圧変動性増大ラットを作成可能であることを報告した。本研究では、Ang II投与モデルを対象に、血圧変動性増大の機序解明と治療方法の探索も試みた。Ang II投与群、Ang II+利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ)投与群、Ang II+アゼルニジピン(AZL)投与群、および対照群の4群を作成して比較した。Ang II投与により、血圧が有意に上昇し血圧値の変動係数(CV)も2倍以上に増加した。Ang II+HCTZ投与群では、血圧上昇が有意に抑制されたが、変動性低下は観察されなかった。一方、Ang II+AZL投与群では、血圧のみでなく変動性増大も有意に抑制された。以上より、Ang IIによる血圧変動性の増大は、体液量非依存性に生じていること、および変動性増大には長時間作用型カルシウム拮抗薬が有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により、「当初の計画以上に進展している」と判断した。 1)ノルアドレナリン持続投与ラットが、血圧変動性増大モデル動物であることを発見して、変動性増大の機序解明の研究を進展させた。 2)上記発見について、特許を出願した。 3)本研究成果の論文がEur J Pharmacolに受理されて掲載された。 4)本研究成果を国内の総会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1)血圧変動性増大モデルの作成および評価:複数の内因性および外因性因子を組み合わせてラットに投与(暴露)し、無麻酔無拘束下に連続圧波形を記録して血圧変動性を評価する。連続圧波形の記録には、テレメトリーシステムを用いて、腹部大動脈に挿入したカテーテルより直接計測する。連続モニタリングの血圧データより、種々の時間軸(1拍毎~1日毎)の血圧変動性を評価し、以下の項目を明確にする:①血圧変動性パラメータのなかで疾患病態(心肥大、心筋線維化、蛋白尿、認知機能)と密接に関連する変動性の指標、②モデルの相違による血圧変動性の量的質的相違、③ヒトの血圧変動性を考察するうえで最適なモデル。 研究2)血圧変動性増大の機序と病態生理の解析:アンジオテンシンII(Ang II)持続投与ラットおよび研究1)で同定したモデルを対象に、血圧変動性の増大機序を、大血管硬度や圧受容体機能の観点から解析する。血管硬度について、大動脈の中膜と外膜の断面積を定量して、コラーゲンおよびエラスチンの発現を、PCRおよび免疫組織学的に評価し、ex vivoにて摘出大動脈の硬度の直接測定も試みる。圧受容体機能については、血圧モニタリングで得られた圧波形の一拍毎の圧変化と心拍間隔の関係を、sequence analysisにて解析する。 研究3)血圧変動性増大の治療手段探索:Ang II投与ラットおよび研究1)で同定したモデルを対象に、血圧変動性増大に対する薬剤の抑制効果を観察する。投与予定の薬剤には、生活習慣病用薬、心血管疾患治療薬、降圧ペプチドとその分解酵素(NEP)阻害薬が含まれ、降圧ペプチドについては長時間作用型誘導体を用いる。血圧変動性増大抑制効果が観察された薬剤やペプチドについて、研究2)に記述した手段で大血管硬度と圧受容体機能への効果を調べる。
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Causes of Carryover |
効率よく研究を実施することが出来たことと、平成29年度には、血圧モニタリングシステムの消耗品の購入がなかったためであり、平成30年度には、同消耗品の購入を予定している。
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Research Products
(12 results)