2019 Fiscal Year Research-status Report
Salt Sensitivity, Hypertension and Tubular Mechanism
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17K09730
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
石上 友章 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50264651)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食塩感受性 / 尿細管 / イオン・トランスポーター / 高血圧 / 心腎連関 / レニン・アンジオテンシン系 / ユビキチン化 / Nedd4-2/Nedd4L |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでに研究代表者が進めてきた『高血圧症の食塩感受性をもたらす尿細管性機序の分子病態』を明らかにする研究の成果に基づき、尿細管 レニン・アンジオテンシン系と遠位尿細管細胞における上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)、その特異的制御因子Nedd4Lに着目した食塩感受性・高血圧症の制圧に ある。ヒトゲノムの解析(Ishigami T et al. 1997, 1999, Hypertension, 2002, J Hum Genet.)から、遺伝子改変動物(Nedd4L, ARen2) を解析した高血圧発症分子病態モデルの機作を精査するとともにヒトへの応用を行い、ヒト尿細管に着目した高血圧症・食塩感受性の疾病・病態の克服を目指す。これまでに、in silicoに、マウス Nedd4-2遺伝子の分子多様性を明らかにし、Nedd4-2 C2ドメインをコードする新規エクソンの発見に成功し、Nedd4-2 C2ドメイン特異的なKOマウスを作製し表現 型を解析した。(Minegishi S,Ishigami T, et al.Scientific Reports, 2016)Nedd4-2 C2ノックアウトマウスを対象にして、エプレレノン抵抗性の機序、心筋の 電気的リモデリングの機序について解析を行い、論文化した。(Kino T, Ishigami T, et al. IJMS, 2017, Minegishi S, Ishigami T, et al. IJMS, 2017)尿細管RA系‐ENaC-Nedd4L/Nedd4-2系による、ナトリウム再吸収機構の制御へむけて、近位尿細管AGTの発現・分泌機序を明らかにすること、ならびにNaイオンの細胞内出納によっておこる、遺伝子転写調節に着目したExcitation-Transcription Couplingを解明するための、新たな動物モデルを作成し、検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不死化した近位尿細管細胞(hRPTEC)のマルチ・オミックス解析により、仮説となる細胞内分子間のパスウェイを描くことができている。現在、input/outputの鍵となる分子を探索している。また、東京大学創薬機構から提供された、低分子化合物のValidated Libraryによる、アンジオテンシノーゲン分泌制御についての、初期スクリーニングを行い、アンジオテンシノーゲン分泌抑制率の高い化合物の開示を受けた。尿細管性機序について、新規動物モデルである、尿細管上皮(P)RR高発現モデル、尿細管上皮特異的Atfノックアウトマウスの開発・系統維持を行っており、解析に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
不死化近位尿細管細胞(hRPTEC)を対象にした、マルチ・オミックス・パスウェイ解析の結果を発展させて、アンジオテンシノーゲン発現制御に直接かかわる分子標的を、明らかにする。新たな低分子化合物ライブラリを用いて、未知のアンジオテンシノーゲン制御性の低分子化合物を明らかにする。Ksp1-(P)RR-TG, Atf3-KOマウスを対象にして、尿細管性機序による高血圧・食塩感受性の発症メカニズムを、解明する。
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Causes of Carryover |
本研究において、重要な解析対象となるKsp1-(P)RRTG, Atf3尿細管ノックアウトマウスの系統維持、繁殖が遅滞している。そのため、主要な解析が次年度に持ち越されることになり、次年度使用額が生じた。
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