2017 Fiscal Year Research-status Report
TDP-43量制御の脆弱性に着目した、核酸医薬によるALS治療戦略の検証
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17K09751
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
須貝 章弘 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70758903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 智彦 新潟大学, 脳研究所, 助教 (70612232)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / アンチセンスオリゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
自己制御機構をもつTDP-43の細胞内代謝を模倣するin silicoモデルを構築し解析した結果、核内TDP-43を維持するためのロバスト性と、TDP-43の病的な蓄積に陥る脆弱性との間にはトレードオフの関係があることを見出した。我々は、このTDP-43の量制御におけるトレードオフが筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態形成に関与するという仮説を提唱し報告した。本研究は、この病態仮説とこれに基づく治療戦略の検証を目的としている。 我々が保有するTDP-43変異ノックインマウスを解析した結果、大脳皮質や脊髄においてTDP-43選択的スプライシングの減少を見出した。野生型マウスの脊髄でこの選択的スプライシング効率をアンチセンスオリゴで特異的に減少させると、内在性TDP-43の発現が亢進し、断片化した TDP-43 の増加を認めた。これは、この選択的スプライシングの減少が TDP-43 の恒常性を破綻させることを示唆した。さらに、この選択的スプライシング部位の近傍のmRNA前駆体に結合するRNA結合タンパク質を同定し、TDP-43変異ノックインマウスの選択的スプライシング効率の減少機序についての解析を進めた。 本病態仮説に則った治療戦略の検証のために、まず、TDP-43選択的スプライシングを亢進させるアンチセンスオリゴの配列の決定と、マウス中枢神経系における効果を確認した。TDP-43が運動ニューロンに蓄積するモデルマウスを用い、概念的な検証実験を進め、さらに具体的なアンチセンスオリゴを投与することによる病態改善効果を確認する実験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALSの病態形成に関与するTDP-43の量制御のトレードオフ仮説を論文にした。TDP-43変異を有するノックインマウスの解析とTDP-43変異を有する家族性ALS症例の線維芽細胞の解析を当初の予定通りに遂行した。アンチセンスオリゴのマウス中枢神経系への投与方法を確立し、標的RNAに対するスプライシング制御効果を野生型マウスを用いて確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
TDP-43発現の制御がALS病態を改善し得るかを検証するために、TDP-43が運動ニューロンに蓄積するモデルマウスを用いた解析を推進する。概念的な実証のために、TDP-43ヘテロノックアウトマウスを用いる。さらに既に配列決定されたアンチセンスオリゴの病態改善効果を検証する。
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Causes of Carryover |
アンチセンスオリゴの配列決定とマウスへの中枢神経系への投与方法の確立にあたって、当初の予定よりも順調に進行したため、試薬費を温存できた。治療戦略の概念実証と具体化のための実験動物モデルの準備を並列的に進めており、本格的な検証実験に関わる物品費については次年度以降に用いる予定としている。
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Research Products
(4 results)