2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of diagnostic tools and discovery of pathology in anti-MOG antibody associated demyelinating disease
Project/Area Number |
17K09772
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中島 一郎 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50333810)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱髄疾患 / 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経の炎症性脱髄疾患における、髄液中および血清中の抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)抗体を、ヒトMOG-DNAを導入したHEK293細胞を用いて間接蛍光抗体法で網羅的に解析した。抗MOG抗体が陽性であった、259例の臨床的特徴をまとめ、疾患としての位置づけを報告した。本疾患は、平均発症年齢が約26歳で、5~10歳と30~35歳の2つの発症年齢のピークを持つことがわかった。全体で男女差はなく、小児発症ではやや女児が多く、成人では男性がやや多い結果となった。全体の約4割が小児発症であり、小児に比較的多い脱髄疾患と判明した。これらの結果は多発性硬化症や視神経脊髄炎の特徴とは大きく異なっており、臨床的に異なる疾患であることが明確になった。 病態解析では、フロービーズアレイ解析法にて、急性期髄液を用いて網羅的にサイトカイン、ケモカイン、増殖因子などを測定した。視神経脊髄炎と同様に、髄液細胞数の増多や髄液蛋白濃度の増加が認められ、髄液中のミエリン塩基性蛋白濃度の上昇から脱髄が病態に関与していることが示された。また、IL-6やIL-17、GM-CSFなどのサイトカインが髄液中で増加していることが明らかとなり、抗MOG抗体陽性の疾患はTh17が関与する自己免疫疾患であることが明らかになった。一方で、髄液中のグリア細胞線維性酸性蛋白質(GFAP)濃度は上昇しておらず、アストロサイトの障害は生じていないことが示唆された。髄液を用いた免疫病態解析でも抗MOG抗体陽性の脱髄疾患は多発性硬化症や視神経脊髄炎とは異なることが示された。平成29年4月に異動となり、研究室の立ち上げが出来ておらず、バキュロウイルスを用いた新たな診断のための抗MOG抗体測定キットの開発は平成30年度に開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年4月に東北医科薬科大学に異動となり、研究環境が変化した。非常勤講師として東北大学での研究に従事できる時間が限られるため、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
東北医科薬科大学での研究環境が整え、研究の場を東北医科薬科大学医学部に移す予定である。新たな測定法の開発をすすめ、昆虫ウイルスであるバキュロウイルスにヒトMOG 蛋白遺伝子を導入し、発芽型ウイルス粒子上にMOG 蛋白を発現させたものを用いて、ELISA 法を確立する。さらに、診断のための簡便かつ低コスト、ハイスループットで抗MOG抗体が測定できる測定キット作成を試みる。CBA法との相関を検証し、将来の保険適用に向けて開発する。病態解析として、発症後未治療の抗MOG抗体陽性の脱髄疾患の末梢血T細胞を抽出し、高い免疫応答性が予想されるMOGペプチドを加えてT細胞の反応性を解析する。T細胞の反応性は、活性化表面抗原の発現の程度、サイトカインの産生、CSFEを用いた細胞増殖アッセイなどで解析する。
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Research Products
(8 results)