2018 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病および類縁疾患におけるすくみ現象の解明
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17K09799
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
和田 健二 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (60346351)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / すくみ足 / 非運動症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は,以下のようにパーキンソン病患者に対して経時的な評価を行い,縦断研究のためのコホート臨床データを蓄積した.すくみ足評価用の自記式質問票を実施し,その後,規定コース歩行によるすくみ足を評価した.その他,UPDRSスコアにより運動機能,非運動症状としてうつ症状,意欲,睡眠,眠気,レム睡眠行動異常,疲労を各種スケールで評価し, MMSE,FAB, MoCA-Jを用いて認知機能を評価した. 縦断コホートデータベースを用いて,すくみ足自覚患者(SFOG)群,すくみ足観察患者群(OFOG),すくみ足なし群に分けて臨床症状や各種スケールの比較検討を行った.OFOG群は全体の17.9%であったが,SFOG群は44.1%であり,全体の62%にすくみ足を有することが判明した.さらに,OFOG群やSFOG群では,運動機能の他に非運動症状が侵されていることも判明した.特に,SFOG群の独立した危険因子を統計学的に検討したところ,運動機能の特徴として,①歩行障害・姿勢反射障害のパーキンソニズムが強い,②罹病期間が長い,③疲労のスコア高い,ことであった.また,歩行障害・姿勢反射障害スコアや疲労スコアの悪化とともにOFOG群の割合も高くなっていった. Wearable monitoring装置を用いてパーキンソン病患者の運動機能を評価した.6個のウェアラブルデバイスを患者の四肢,体幹に装着し、10m歩行試験,立ち上がり・着座,方向転換(360°),Timed up and go Test (TUGT),静止立位保持の運動課題中の動作を定量化した.すくみ足を有するパーキンソン病患者においては,歩幅の減少,歩数の増加,立ち上がり・着座時間の増加,安静時重心動揺角度の増加,方向転換時間増加,角度減少,速度低下していた.また,歩行姿勢状態においては,矢状面の重心動揺角度の増加していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規パーキンソン病患者やフォローアップ中の患者の臨床データを評価し,順調に症例数を蓄積しており,目的解析に向けたコホートデータ登録が順調に進んだ.データベースをもとにベースライン時における状態をまとめ,論文として誌上発表した. Wearable monitoringを用いたMobility Labによる数値化データも蓄積され,各種パラメーターを用いた解析作業を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
蓄積されたデータベースを利用し新規発症したすくみ足の危険因子,重症化に関する因子を幅広い観点から絞り込む.さらに,Mobility Labを用いた研究では,すくみ足に関連する数値化データを元にすくみ足に関連するパラメーター変化を統計学的に抽出し,すくみ足診断の有用性を検証する.さらに縦断的検討を加え,ベースラインの軽微なパラメーター変化が,将来のすくみ足の発現を客観的に捉えることができるか検討していく.
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Causes of Carryover |
歩行・姿勢を評価するMobility Labの消耗品および部品交換等の保守・保全のため予算を確保していたが,使用する機会がなく,翌期繰越金が生じた.
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Research Products
(4 results)