2018 Fiscal Year Research-status Report
脂肪細胞での統合的ストレス応答経路による肥満制御機構の解明
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17K09862
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三宅 雅人 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 助教 (30588976)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / ストレス応答 / 内分泌 / 摂食 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞が種々のストレスに曝されたときの応答経路の一つである統合的ストレス応答経路の脂肪細胞における役割の解明と肥満や糖尿病との関わりについて明らかにすることを目的とする。 昨年度までに脂肪細胞において任意の時期にストレスを生ずることなく統合的ストレス応答経路を活性化できるトランスジェニックマウスを用いて研究を行った。この結果、統合的ストレス応答経路を活性化によって高脂肪食による肥満が改善し、その主要な要因として摂食量の低下が関与していることを明らかにした。本年度はこの分子メカニズムの解析を行った。まず、脂肪細胞より分泌される主要な摂食抑制因子であるレプチンについて発現解析を行った。しかし、トランスジェニックマウスにおいて統合的ストレス応答を活性化しても脂肪細胞におけるレプチンの発現に変化は認められなかった。そこで統合的ストレスを活性化したマウスの脂肪細胞を用いてマイクロアレイ解析を行い、その結果と文献情報を合わせて新規な脂肪細胞由来の摂食制御因子の探索を行った。その結果、統合的ストレス応答で制御される摂食抑制因子を同定した。次に摂食抑制因子について発現制御の分子メカニズムを解析したところ、統合的ストレス応答経路で発現上昇する転写因子ATF4とCHOPの発現抑制によって摂食抑制因子の発現が低下した。またトランスジェニックマウスとCHOPノックアウトマウスを交配して解析したところCHOPのノックアウトによって統合的ストレス応答を活性化による摂食抑制因子の発現上昇が減弱した。 以上のことから脂肪細胞での統合的ストレス応答経路の活性化は摂食抑制因子の発現を上昇させて摂食を抑制することが明らかとなった。今後は統合的ストレス応答による摂食抑制因子の発現制御メカニズムの解明と生体における摂食抑制因子の意義についてさらに詳細に解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度で得られた予想外の結果を支持する分子メカニズムの候補について同定することが出来た。さらにその詳細な解析に着手している。すでに発現制御メカニズムの解明と生体における意義の解明を目指して次の実験を進めており研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
統合的ストレス応答経路によって制御される摂食抑制因子の発現制御メカニズムについてさらに詳細に解析していく。具体的にはプロモーター解析、クロマチン免疫沈降などをもちいて明らかにする。また、生体における統合的ストレス応答と摂食抑制因子の意義について摂食抑制因子のレセプターノックアウトマウスとトランスジェニックマウスを交配してその表現型を明らかにする。また、統合的ストレス応答経路を活性化する薬剤について既知の化合物に加えて新規な物質を同定している。これらを肥満マウスに投与したときの表現型についてこれまでに得られた成果をもとに解析を進める。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現解析とマウス表現型解析について実験計画を変更したため、試薬購入計画も変更となり次年度使用額が生じた。次年度にマウス投与用の薬剤や機能解析用の試薬などに使用予定である。
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Research Products
(5 results)