2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of innovative therapy of metabolic syndrome applying physiological effects of cardiac hormones
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17K09897
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
徳留 健 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (00443474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 健太郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (50470191)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / ANP / BNP / メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 / 血管内皮 / 骨格筋血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房性・脳性ナトリウム利尿ペプチド(ANP・BNP)は、心臓から産生・分泌されるペプチドホルモンであり、利尿・ナトリウム利尿・血管拡張などの生理作用を有する。ANP・BNPは共通の受容体であるGuanylyl Cyclase-A(GC-A)に結合し、細胞内cyclicGMP産生増加を介して上記生理作用を発揮する。前年度までの検討によって、GC-A欠損マウスが過食・体重増加・熱産生量低下・耐糖能低下などの表現型を呈することが分かった。そこで2019年度は、どの細胞に発現しているGC-Aが、これらの表現型発現に寄与しているのか検討した。4週齢オスSDラットを深麻酔下で安楽死させた後、4%パラホルムアルデヒドにて還流固定し、エネルギー消費量が多い組織である骨格筋におけるGC-Aの発現を免疫組織化学染色にて検討した。結果、意外にも骨格筋細胞におけるGC-Aの発現は非常に少なかった。一方、骨格筋組織内の血管、特に血管内皮細胞において豊富なGC-Aの発現を認めた。次に血管内皮細胞GC-Aのエネルギー代謝における生理的意義を調べるため、血管内皮特異的GC-A欠損マウス(EC GC-A-KO)を作製した。普通食投与下では、EC GC-A-KOマウスの体重・摂食量・運動量は対照マウスと同程度であったが、酸素消費量・熱産生量は優位に低下していた。またインスリン負荷試験・糖負荷試験を行ったところ、EC GC-A-KOでは対照マウスに比べ、有意な耐糖能異常を認めた。以上の結果は、血管内皮GC-Aが血管拡張・血流増加を介して、生体のエネルギー代謝を促進的に調節していることを示唆する。2020年度、そのメカニズムについて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大阪北部地震による測定機器の故障、および国立循環器病研究センター移転に伴う動物実験の中断により、当初の予定よりやや遅れている。よって研究期間の延長申請を行い、承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、内因性ANP・BNPがエネルギー代謝を促進的に調節していること、そのsite of actionの有力な候補が血管内皮細胞であることが分かった。今後は血管内皮におけるANP・BNP-GC-Aシグナルが、どのようなメカニズムでエネルギー代謝を促進するのか、明らかにする。またANPを野生型マウスに投与すると、エネルギー代謝はどのような影響を受けるのかについても検討する。
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Causes of Carryover |
国立循環器病研究センター移転により、動物実験が中断した期間があった。また移転に伴って、実験に用いるマウスを凍結胚から起こし、繁殖させる期間が必要であった。これらの理由により次年度使用額が生じた。よって研究期間の延長申請を行い、承認された。次年度は、マウス飼育費・消耗品費・国内学会参加費等が今年度より増加する見込みである。
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Remarks |
国立循環器病研究センター研究所 生化学部
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